hirayama46の日記

とりとめもなく書いています。

映画感想『ブギーポップは笑わない Boogiepop and Others』

 ここ数年は追うのが遅れてしまっていますが、原作、ことに初期5作品においては格別の愛着を持っているシリーズです。なので、かえって映画版を見るのをためらっていたのですが、アニメ版も終わってだいぶ経ったし、そろそろ見てみようかな……と思い視聴しました。

 

 そんなわけであまり期待していたわけではなかったのですが、これがたいへんに楽しめる作品だったので、つらつらと感想を連ねたくなりました。雑に作ってしまえばB級ホラーで終わってしまいそうなところを意欲的な演出・脚本によって見応えのある作品になっていたという印象。

 たしかに低予算映画っぽいややチープな雰囲気はありますし、俳優陣の演技も達者とは言えませんが、その90年代後半のガサッとした空気感、キャラクターの青臭さはなかなかに心地よいものでした。 

 

 個人的に一番の見どころは作品を象徴する冒頭の細切れとなったシーン。梶浦由記の美しい劇伴をブチンブチンと断ち切っていく演出は大胆で、これから先に期待を持たせてくれます。

 

 序盤は原作からの改変は少なめで、木村明雄視点のラストシーンがホラー寄りのものからセンチメンタルなものに変わっているのが大きめのところでしょうか。これは丁寧で良かったと思います。

 末真和子視点はかなり大胆に変えてきていて、これは賛否両論ありそうですね。個人的には2000年公開の映画でここまで百合を匂わせる見せ方をしていることに驚きました。これは公開当時に見たらピンとこなかったかもしれない、いま見ると新鮮さを感じる部分です。

 問題はアクションを交えた終盤なのですが……これはちょっと全体的に上手いこといっていなかったかな、と感じました。演出の安っぽさ(マントの宇宙……)も目に付きますが、ブギーポップにアクション的な見せ場を与えるためか、マンティコアの退治とエコーズの発動の順番が逆になってしまっており、エコーズが命を賭した意味がわからなくなってしまっているのが難点ではないでしょうか。

 

 というわけで、最後にややマイナスがあったものの、総じて原作との違いを味わうながら楽しめる作品でした。原作忠実再現派ではなければ一見の価値がある作品だと思います。

 

 ちなみに、DVDには30分以上のメイキング映像が付いていて、これはいま見ると面白いですね。20年前の撮影風景というノスタルジーと、いまは芸能生活を引退しまっている人たちがちらほらいるということが味わいになっていました。20年前にわたしがいっしょに過ごしていた人たちはどこかで元気にしているのだろうか、という意味のない感傷が湧いてきました。オウ。