hirayama46の日記

とりとめもなく書いています。

{tekitou]5月の読書メーター

 5月の読了数は26冊でし、た。
5月の読書メーター
読んだ本の数:26冊
読んだページ数:7186ページ
ナイス数:92ナイス

42.195 (カッパノベルス)42.195 (カッパノベルス)
倉阪鬼一郎の書くミステリといえばどうなってしまうのかは予想の範疇だと思いますが、やはり楽しい。みんなで読んでズッコケるといいと思いました。/しかし、前半部を読んで思ったのだけど、この方、普通に書いても面白いものが書けるのだろうな……と思いました。それを全力でぶん投げる作家人生。これからも付いていきたいです。
読了日:05月31日 著者:倉阪 鬼一郎
愚者のエンドロール (角川文庫)愚者のエンドロール (角川文庫)
再読ー。高野音彦表紙版で読みました。こっちもかわいいけど、アニメ版表紙も可愛いなあ。ただ、「WHY DIDN`T SHE ASK EBA?」の文章はないのかな?だとしたらスニーカー文庫版の方がいいのかも。/内容は、前作からググっとミステリ濃度をあげてきてますね。わりとすれたミステリ読み(ぼくはそんなにすれてませんが)でも満足できるのでは。/奉太郎のタロットは……正鵠を射ているとはいえ……。しくしく。/ウイスキーボンボンで酔っ払う千反田えるが可愛いので、どんどん酔っ払っていただきたい。
読了日:05月30日 著者:米澤 穂信
春から夏、やがて冬春から夏、やがて冬
相変わらず嫌な話を書くなあ……。流石です。最後まで極めて後ろ向きな希望を残しているのがたいへん人が悪い。面白かったです。/ぼくは帯がない状態のを読んだのですが、どうもそれがプラスに働いたようですね。あまり感心できる帯ではなかったようなので。
読了日:05月29日 著者:歌野 晶午
おいしいコーヒーのいれ方 (1) キスまでの距離 (集英社文庫)おいしいコーヒーのいれ方 (1) キスまでの距離 (集英社文庫)
うーん、初々しい。フレッシュであります。おいしいコーヒーというか砂糖をたっぷり入れたカフェオレといった雰囲気かな。ちょっと古さを感じさせるのは刊行から18年たっているので仕方がないところ。/「あたりを埋めつくしているのは「潮騒」などというなまやさしいものではない。それはまさしく、「海鳴り」だった」とかこういう文章が文学少女のハートを揺さぶるのかもしれないなあ。
読了日:05月28日 著者:村山 由佳
勉強はそれからだ―象が空を〈3〉 (文春文庫)勉強はそれからだ―象が空を〈3〉 (文春文庫)
「書く」と「暮す」の2章からなるエッセイ集。暮すとはいっても覆面作家の暮しゆえにわりとベールに包まれた感がありますね。しかし、沢木耕太郎井上陽水色川武大の飲み会ってすごいな……。/飲んだあとの居酒屋から全力ダッシュで帰宅するというのもなかなかすごい。一見非常にまともな人だけど、やはりどこか変人性はありますよね。それが良いのだと思います。
読了日:05月27日 著者:沢木 耕太郎
ばらばら死体の夜ばらばら死体の夜
『私の男』などに見られた、粘りつくような男女の情念はやや薄くなっている感はあるけれど、多視点を使ったことによる深みのようなものは感じられました。こういうのを作家的成熟と呼ぶのかもしれないなあ。/五章の「ted」なんかは全体としては少し浮き気味にも思えるけど、いい挿話だと思います。個人的には最もドロドロとしたものが表出する四章「Nostalgia」が好きです。
読了日:05月26日 著者:桜庭 一樹
薔薇くい姫・枯葉の寝床 (講談社文芸文庫)薔薇くい姫・枯葉の寝床 (講談社文芸文庫)
エッセイ風の小説である「薔薇くい姫」は面白く読めましたが、どうもぼくは普通に書かれている文章から滑稽さを味わうのが苦手らしいです。読み手として繊細さに書けるのでしょう。/繊細といえば同性愛小説である「枯葉の寝床」が印象的。たいへん繊細な筆致で味わえました。ただ、受けのほうほ少年が中性性を持とうとしているのかオカマっぽいしゃべりになっている(「〜よ」みたいな)のは気になったかな。でも、少年性を持たせるのも違う気がするし、難しいですね。やおいの奥は深い。
読了日:05月25日 著者:森 茉莉
日出る国の工場 (新潮文庫)日出る国の工場 (新潮文庫)
4回目くらいの再読。本書の取材が行われたのは1986年。25年くらい前ですね。その間に日本の工場はどのように変わったのだろうか……。ラビット社はいまでも消しゴムを作り続けているようだけど、コム・デ・ギャルソンはいまでも下町で作られているだろうか。牧場とか結婚式場はあまり変わってなさそうだけど。/CDは当時の最新鋭技術だったのだなあ。完全データ販売時代はひたひたと近づいているかもしれないけれど、少なくともいまはまだ健在ですね。25年かあ。
読了日:05月24日 著者:村上 春樹,安西 水丸
桜宵 (講談社文庫)桜宵 (講談社文庫)
変わらず地味な作風ながらも、やはりアベレージは高い印象。どの短編も練ってあるなあ、と思います。/ぼくはあまり活字での「美味しいもの」描写はピンと来ない人なのかも。食べたことのない食材も多いので、想像力が不足しているのだろうなあ。悲しいことです。といっても、作品でてくる工藤さんの料理を食べることは誰にもできないのですが……。
読了日:05月23日 著者:北森 鴻
封じられた怪談 紫の本 (ポプラポケット文庫 児童文学・上級?)封じられた怪談 紫の本 (ポプラポケット文庫 児童文学・上級?)
いままでの色に比べて、紫は使われることが少ない色ですが、それでも怪談のクオリティーは変わらず高かったと思います。有名な怪談もたくさん入っているらしいのですが、ほとんど知りませんでした……。/相変わらずの枠物語としての怪談もきっちり機能していて、安定、といった感じですね。/次は黄色あたりがくるのかな。
読了日:05月21日 著者:緑川聖司
幻想即興曲 - 響季姉妹探偵 ショパン篇幻想即興曲 - 響季姉妹探偵 ショパン篇
相変わらずの仮説をああでもないこうでもない、というよりもああでもありうる、こうでもありうる、と論議するのはなかなかに楽しいのですが、ちょっとパンチ不足かなあ。構図的にもそれほどエレガントではなかった気がします。せっかくのショパンなのに。/バラードは何番なんでしょうね、とかどうでもいいことが気になるぼくの偏った脳。/姉妹の百合はここでは評判悪いですな……。ぼくは百合好きだから気になりませんでした(かといって特に良い百合だと思ったわけでもありませんが)。
読了日:05月21日 著者:西澤 保彦
六月の夜と昼のあわいに六月の夜と昼のあわいに
幻想的短篇集。書く作品の冒頭に絵画や短歌・俳句といったサムシングが付け足されていてなかなか贅沢なつくり。本編はやはり恩田陸、といった風情で、15ページくらいの短編でもするっとお話に入らせるのは流石です。/お気に入りは過去と現在が交差する「Y字路の事件」、ベタな残酷譚でありながらラストでくすっとさせる「窯変・田久保順子」あたりかな。
読了日:05月20日 著者:恩田 陸,杉本 秀太郎
小澤征爾さんと、音楽について話をする小澤征爾さんと、音楽について話をする
この本によく出てくるカラヤンバーンスタインアバドといった人たちの音楽をひと通り聴いたことがあるほうが理解が深まると思います。そういう意味では入門書というよりも初心者以上向けといえるかも。/最初の方だけ「マエストロ」と呼んでいて、あとは「小澤さん」という呼び方で定着していたのがなんとな面白かったです。/自分ももうちょっと集中して(BGM的な聴き方でなく)音楽に触れないといけないなあ、と思いました。ジャンルは問わず。
読了日:05月19日 著者:小澤 征爾,村上 春樹
ドッグマザードッグマザー
タイトル的に『ゴッドスター』と関連してそうだけど、内容を憶えていないので確かめられず……。まあ、4年半も前に読んだのだから仕方がないと思っておきましょう。/相変わらず濃密な文章で360ページがかなり長く感じました。/全三部で成り立つ物語で、三部のみ震災後、他は震災前に書かれています。第二部での展開からそうなるだろうな、とは思っていましたが、こういう宗教の描かれ方をするとは思いませんでした。/古川日出男の「これから」を考えてしまう感じ。なんとなく、まだ終わっていないような感覚もありました。
読了日:05月17日 著者:古川 日出男
殺人!ザ・東京ドーム (講談社文庫)殺人!ザ・東京ドーム (講談社文庫)
タイトル・装丁ともにややダサい(という言葉が古いのかな)感じはしつつも、内容はなかなか。単純な事件にちょっとツイストを効かせているのが印象的です。あと、《本格》や《ミステリ》の定義は人によって様々でしょうが、ミステリ要素はやはり薄めと見た方が良さそう。登場人物の思惑が絡み合うサスペンスに入るのかな。
読了日:05月16日 著者:岡嶋 二人
完璧な病室完璧な病室
病気に侵された弟と、その主治医をめぐる物語である表題作と、年をとったおばあさんを施設に預ける「揚羽蝶が壊れる時」の2編を収録。やはり色々とむき出しで、ちょっと観念的にすぎることもあったりして、初期作だなあ、とは思いますが、小川洋子らしさが生で表れているとも言えるかも。/両方の短編で《食べること》についてのグロテスクさが強調されていたのが印象的でした。
読了日:05月15日 著者:小川 洋子
旅は道づれツタンカーメン旅は道づれツタンカーメン
脚本家・映画監督の松山善三と女優の高峰秀子の夫婦によるエジプト旅行記。なんだか旅行よりも夫婦のイチャイチャやら考察やらが多くて、そっちの方向を好む読者はいいけれど、旅行記だと思って読むとあれっ? ということもちょくちょくありました。/旅行記としては普通の旅行といった感じで、通訳やカメラマンもいてタフやマッチョさはない、ごく一般的な旅行といった感じ。/あと元が1980年の本なので文章に古さ(特に高峰秀子パート)を感じることもありました。
読了日:05月13日 著者:高峰 秀子,松山 善三
作家小説 (幻冬舎文庫)作家小説 (幻冬舎文庫)
こういう作家を扱った小説というのは、どうしても自虐的な方向に向いがちですが、本書はそんなことはなく、バラエティ豊かで楽しめました。どの短編もラストで気が利いているのはミステリ作家らしいところかな。/普段から自分のペンネームを語り手にした小説を書いている分、作家という職業に対して客観視できているのかもしれません。/お気に入りは極限状況に追い込んで小説を書く、ということの痛々しさが印象的な「書く機械(ライティング・マシン)」、ラストの爽やかさが良い「奇骨先生」あたりかな。
読了日:05月12日 著者:有栖川 有栖
エコノミカル・パレス (講談社文庫)エコノミカル・パレス (講談社文庫)
角田光代2冊目ー。『八日目の蝉』も大概だったけれど、こっちもなかなかのダメ人間の巣窟であることですな。《他人のため》にやることが本当にためになるかどうかなんてことはわからないものです。ラスト付近のディスコミュニケーション感はけっこう好きです。
読了日:05月11日 著者:角田 光代
不思議の果実―象が空を〈2〉 (文春文庫)不思議の果実―象が空を〈2〉 (文春文庫)
・会う ・訊く ・見るの3つのテーマからなるエッセイ集。やはりメインの仕事だからなのか、スポーツ観戦期はどれも面白かったです。読んでいて特に印象的だったポイントは吉永小百合の大スター性から考えると異常なまでの《普通》さと、ロサンゼルスオリンピックへの、主にカール・ルイスへの視点かな。あと、挿話として語られる棋士趙治勲の「囲碁は例え不利でも若いほうが勝つ」という哲学もへんてこだなあ、と。最近までトッププロとして活躍していたわけだけど、今ではどう思っているのかなあ。/ソ連が五輪をボイコットというのもすごい。
読了日:05月10日 著者:沢木 耕太郎
毒入りチョコレート事件【新版】 (創元推理文庫)毒入りチョコレート事件【新版】 (創元推理文庫)
読み残していたバークリーを消化。なぜこんなメジャーなものを残していたのか……。/1929年発表ということもあり、多重解決・推理合戦ものの嚆矢と言える作品なのかな。大真面目なギャグの入れ方が興味深かったです。シリーズ読者としてはいつものシェリンガムでなかなか嬉しいです。モースビーさんの出番は少なめでしたが。/サプライズが薄くなってしまうのは作者の狙い的に仕方がないところだったのかな。
読了日:05月09日 著者:アントニイ・バークリー
八日目の蝉 (中公文庫)八日目の蝉 (中公文庫)
最初の方は自己中心的な犯罪者としか思えなかった語り手のことが、好きにはなれないまでも、ある種の感情移入が出来るようになっていくのは上手いなあ、と思いました。スリリングな逃亡行はリーダビリティも高かったです。/2章に入ってからはもうちょっと深いところまで踏み込むのかと思ったらそうでもなかったような。むしろ「そっちへ行くのかあ」という思いがありました。1章の謎解きというのとはちょっと違う、風呂敷に包まれていた中身を見せるような感じかな。
読了日:05月07日 著者:角田 光代
風神帖―エッセー集成1 (エッセー集成 1)風神帖―エッセー集成1 (エッセー集成 1)
2冊出すエッセイ集のタイトルが風神帖/雷神帖というのはなかなか洒落ていて良いですね。池澤夏樹の言葉の選び方には信頼できるのかな、と思わされます。/内容もやはり文章は上手くて良いのですが、まったく知らない作家やアイヌの研究家さんにまつわる文章はやはり少し頭に入ってきづらい感じはしました。文庫や全集の解説をまとめた際にはどうしてもそうなってしまうので仕方ないのですけども。
読了日:05月05日 著者:池澤 夏樹
螢・納屋を焼く・その他の短編 (新潮文庫)螢・納屋を焼く・その他の短編 (新潮文庫)
何度目かわからないけれど、再読ー。「めくらやなぎと眠る女」は一度「めくらやなぎと、眠る女」と読み比べてみたいけど果たせず。また機会があれば……。/お気に入りは切ない後味がなんとも魅力的な「蛍」、あたかもホラー小説の様相を呈している「踊る小人」、誰も傷つかないかもしれない、けれどもどこか不穏な「納屋を焼く」あたりかな。
読了日:05月04日 著者:村上 春樹
爆発道祖神爆発道祖神
1枚の写真に対して文章が2ページほどの掌編集。町田康の小説は読むたびに文章芸という概念について思いを馳せてしまいますが、この本でもやはり芸のある文章を炸裂させています。それぞれのタイトルセンスからして痺れるものがあります。「情熱的な赤いシャーツの僕・魂のボイル」とか「永遠に続く虚無・暗黒の円形商店街入り口で俺とV」とか「よかれとおもったけど裏目。天麩羅がびしょびしょやわ」とか。素敵だ……。
読了日:05月03日 著者:町田 康
午前零時のサンドリヨン午前零時のサンドリヨン
とても上手いし、実際に面白いのですが、個人的にはあと一味足りな印象が残りました。こういうラブコメミステリ好きなのだけどなあ……。なんででしょう。サブキャラの立ち方がちょっと足りなかった? そんなに言うほどでもないよなあ……。うーん、不思議な感触です。全体的な「気取り」みたいな空気感が自然になると良いのかも。いやまあ、この気取り方(タイトルからして)が魅力なのかもしれませんが。
読了日:05月01日 著者:相沢 沙呼

2012年5月の読書メーターまとめ詳細
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