hirayama46の日記

とりとめもなく書いています。

古川日出男「ベルカ、吠えないのか?」

ベルカ、吠えないのか?

ベルカ、吠えないのか?

 「アラビアの夜の種族」「サウンドトラック」といった大長編の凄みはないけれど、長編としてのがっちりとした手ごたえと十分な面白さを持つ良作でした。
 犬の近代史と現代のロシアマフィアのストーリーが交互に進んで行き、物語がどう着地するのか想像できません。が、そこは希代の物語の紡ぎ手である古川日出男。その筆の運びに流されましょう。
 ベトナム戦争の話の直後に怪犬仮面なるふざけた名前の人の話が語られる辺りはさすが変幻自在な筆力を感じさせますね。