桜坂洋「スラムオンライン」

スラムオンライン (ハヤカワ文庫 JA (800))

　これは珍しい、「ゲーム小説」ではない「ゲーマー小説」なのですね。考えてみたらあんまり前例が無いものかもしれません。
　というわけでゲームが好きな人、好きだった人、それも「得る物なんて無いのに自分は何でゲームなんでやってるんだろう」とか思ったことのある人には是非薦めたい小説です。ぼくもなんだかんだで今でものほほんと家でゲームをやったり、ゲームセンターにふらりと行ったりしてる人なので、少々思うところはありました。今では熱意は無いけど。いや、昔から無かったのかなあ。分からないや。
　閑話休題。小説の話を続けましょう。
「ALL YOU NEED IS KILL」を読んだ時にはその文章力の高さに非常に感心したのですが、今作のゲームの描写は今ひとつかな。いや、けして悪くは無いのですが、そもそも格闘ゲームを小説で描写する、というのが無茶な気がします。
　ぼくはオンラインゲームの経験が殆ど無いから詳しい事は不明だけど、こんな殺伐としたMMO嫌だ……。それから主人公がモテモテなのも嫌です。畜生、理由なんて知りたくもないよ。
　
　イラストはtoi8さんでとても良い。「ALL〜」の安倍吉俊といい、イラストに恵まれた人だなあ。