穂村弘「いじわるな天使」

いじわるな天使

　歌人であり、エッセイストであり、絵本の翻訳家でもあり、また読書好きでもある穂村弘の少し不思議な話を集めた短編集。
　いじわるな天使が語っているという設定のこの本。いじわるな天使はいじわるなので、もちろん語る話もちょっといじわるです。よって、ほんわかした話を期待して読まないように。まずは最初の「宇宙船で女の子をいじめる方法」を読んで大丈夫かどうか見極めましょう。ぼくはこの一編でがっちり摑まれました。
　村上春樹ファンには「夜のくもざる」みたいな本です、といえばすぐにぴんとくるかもしれません。イラストも安西水丸ですし。どちらかといえばシュール色の濃い「夜のくもざる」よりも一つ一つの話が長めだからか、こちらの方がより物語色が濃いかもしれません。
　どちらかが好きな方は読んでみてはいかがでしょうか。