hirayama46の日記

とりとめもなく書いています。

吉田篤弘「つむじ風食堂の夜」

つむじ風食堂の夜

つむじ風食堂の夜

 うーん、しみじみと良い雰囲気です。「どこかにいってしまったもの」や「ないもの」の存在を感じさせる物語でした。ぼくがまだ20歳な所為か懐かしいとは感じられませんでしたが、こんな場所、あったらいいなあと強く感じると共に、あることを信じても良いなという気持ちになれました。
 クラフト・エヴィング商會吉田篤弘だけあって、作中作がすごく魅力的。「唐辛子千夜一夜奇譚」ですよ!題名だけでときめくじゃないですか。
 でも、それが魅力的に思えるのはそれが「ないもの」だからなのかな、とも思ってみたり。ぼくはいつも「あるもの」で満足できない。「ないもの」に思いを馳せると不思議な安心が得られる。ぼくだけなのかな?