hirayama46の日記

とりとめもなく書いています。

サン=テグジュペリ「夜間飛行」

夜間飛行 (サン=テグジュペリ・コレクション)

夜間飛行 (サン=テグジュペリ・コレクション)

 あれ、もう10日も経ってたのか……「レモネードBOOKS」読み4冊目。いつか読もうと思っていたのでこれ幸いと読みました。
 
 詩的な文章は美しくて、格調高く本当に素晴らしい。空や風景の表現に心打たれます。
 しかし、個人的にはこの小説のテーマや論調にはどうしても首肯できないものが多かったです。その辺についてはamazonのレビューが(珍しく)興味深い事になっています。

ただ美しいものを美しいということに躊躇しない主人公と過ごすひと時。それを素直に楽しもうという心意気で読んで欲しい小説だと思う。

という意見も、

彼の小説に出てくる女性はみな定住型安定志向の優柔不断、男の背中に向かって泣くばかりの損な役回りばかりという気がしてなりません

というのも理解できます。(両者ともそれ以外の部分には疑問を感じますが)
 リヴィエールの人物像は本当にすごくて序文では「過酷」という表現を用いていたけれども、それどころじゃない気がします。なにしろ、

「規則というものは」、リヴィエールは思った。「宗教の祭式のようなものだ。不合理なもののようだが、人間を鍛えあげてくれる」。リヴィエールにとっては、不当に見えようと正当に見えようと、そんなことはどうでもよかった。おそらく、そのような言葉は彼に意味さえなさなかったのだろう。

だもんなあ。そういうことって規則を創る人間が言うことなのか?
 
 ところで文庫版は何故283Pもあるのでしょうか。何か併録してるのだろうか。