野村美月「“文学少女”と死にたがりの道化」

“文学少女”と死にたがりの道化 (ファミ通文庫)

　太宰治が好きでたまらないからこういう小説を書いたのかと思ったら、あとがきに「教科書でしか読んだことがありませんでした。」と書いてあって衝撃。そうだったのか……。作中で出てくるポール・ギャリコなんかは実際好きそうですが、どうなのでしょうか。
　作品としては、上半期のベスト級という評判も頷ける出来でした。野村美月は「赤城山卓球場に歌声は響く」を読んで以来、どうもピンとこなかったので今まで読んでいなかったのですが、他の作品も読んでみようかなあ。
　印象的に桜庭一樹「赤×ピンク」と似たような位置にある感じがします。作家としての転換点に立っているような。