清涼院流水「彩紋家事件」

彩紋家事件〈前編〉極上マジックサーカス (講談社ノベルス)

彩紋家事件 後編 下克上マスターピース (講談社ノベルス)

　うーんうーん。悪くはなかったけど、今までのJDCシリーズに比べて爆発力が足りなかったのが残念です。シリーズを重ねることで高まった期待に（良くも悪くも）応えてくれた「カーニバル」のことを考えると、ずいぶんこじんまりしてしまった印象です。
　ただ、中盤のサーカスの場面の冗長さ（必要ではあったのですが）を除くと、全体的にはなかなか良い出来だったとは思います。特に下巻に入ってからの展開はスリリングで、読んでいて楽しかったです。
　時系列的に過去のお話なので、今までのJDCのキャラクターの出番がやや少ないのも寂しいところです。これは仕方ないのですが……。
　あと、手品のネタをばらす際に、いちいち「なんだこんなことか、と思わずに黙って驚け！　驚かないやつは野暮だ！」みたいなことが書かれているのはちょっと……。そもそも小説で手品を見せるのが苦しいのだから、驚けないのはしょうがないと思うのだけどなあ。
　
　ところで、（リンク先は重大なネタバレ！）ですよね。