hirayama46の日記

とりとめもなく書いています。

6月の読書メーター

 6月の読書冊数は23冊で、した。
6月の読書メーター
読んだ本の数:23冊
読んだページ数:5907ページ
ナイス数:74ナイス

ニッポンありゃまあお祭り紀行 秋冬編 (講談社文庫)ニッポンありゃまあお祭り紀行 秋冬編 (講談社文庫)
春夏編よりもこっちの方が奇祭が多い感じだったかなあ。沖縄の泥かけと奈良の砂かけはやはりかなり異常と言ってもいいだろうと思います。人為的に穢れをつけることで〜というやつなのでしょうが。/鹿児島の祭り、人参で陰茎を表現するのはまあわかるのですが、米袋で睾丸を表すって芸が細かいな……。そこまでしなくても。
読了日:06月30日 著者:椎名 誠
パトロネパトロネ
なんだか1冊目とずいぶん作風が変わったなあ……。表題作は実在と非実在のあわいをいくところはなかなか面白かった(妹の非実在性とかりーちゃんのあまりにも唐突な登場とかフランスとか)のですが、へんてこさは減っていた気がして少し寂しいです。「いけにえ」はへんてこのベクトルがちょっと好みじゃなかったかなあ。もっと高い跳躍を期待している作家さんなのですが……。こういう作風も面白くはあるのですが。
読了日:06月28日 著者:藤野 可織
私の選んだ文庫ベスト3 (ハヤカワ文庫JA)私の選んだ文庫ベスト3 (ハヤカワ文庫JA)
なにしろ文庫化したのが15年前なので、単行本のことも考えると新聞連載は下手すると20年近くなるわけで、さすがに古びている部分が無きにしもあらずですが、いわゆる「文豪」の自分の知らない作品の発見には役立つかもしれません。ひとつひとつの記事が短くてさらっと読めるのと、和田誠のイラストが良い感じなのです。/しかし、当時は読めていまは版元品切れになっている本がどれくらいあるのかしら……。まあ、新しく読めるようになった本に数限りなくあるので単純に「昔はよかった」ですむことではありませんが。
読了日:06月27日 著者:
聖夜 ― School and Music聖夜 ― School and Music
いや、これはいい本を読んだなあ、というのがまっさきに浮かんだ感想。こういうキラキラしていて、青春ゲージ振り切っているようで、それでもどこか等身大な、そんな青春小説でした。/普段は登場人物に声を当てたりはしないのですが、なぜかこの作品の主人公は杉田智和で脳内再生されました。なぜかしら……。深井くんは吉野裕行で。女性キャラはあまり浮かびませんでした。天野さんは佐藤聡美かも。青木さんは……やっぱり浮かばないなあ。
読了日:06月26日 著者:佐藤 多佳子
定本 蛙 (愛蔵版詩集シリーズ)定本 蛙 (愛蔵版詩集シリーズ)
久しぶりに詩集を読みました。繰り返されるオノマトペから生み出される生と死は、蛙という人間から見たらちっぽけな存在ながらもダイナミズムに満ちています。「冬眠」みたいな実験作も楽しいです(ページの真ん中に黒丸が記されているだけ、という詩)。あとはやっぱり教科書にも乗っていた「河童と蛙」は好きです。
読了日:06月25日 著者:草野 心平
モンキー・ハウスへようこそ〈2〉 (ハヤカワ文庫SF)モンキー・ハウスへようこそ〈2〉 (ハヤカワ文庫SF)
1巻はもう何年も前に読んでいたのだけれども、なぜか2巻は読んでませんでした。/1巻の内容を忘れてしまっているので断言はできませんが、SFは少なめな感じだったでしょうか。もちろん普通小説(という言い方でいいのかは自信がありませんが)も面白いから良いのですが。/お気に入りは聴いた人間を確実に幸福にする装置を描いた「ユーフィオ論議」、子供が私立学校に行くことになったが、しかし……な「嘘」、不老薬によって死が極端に少なくなって、わずかな余裕で暮す人々を描いた「明日も明日もその明日も」あたりかな。
読了日:06月24日 著者:カート,Jr. ヴォネガット
ニッポンありゃまあお祭り紀行 春夏編 (講談社文庫)ニッポンありゃまあお祭り紀行 春夏編 (講談社文庫)
思わず「ありゃまあ」と言いたくなるようなお祭りを紹介した1冊。まだ春夏編だからか「く、狂っている……」というものはありませんでしたが、股間にバット状の棒を挟んで踊るお祭りと、一昼夜をかけて行われる古典相撲、お神輿破壊祭りあたりがへんてこで面白かったかな。
読了日:06月23日 著者:椎名 誠
彼らの流儀 (新潮文庫)彼らの流儀 (新潮文庫)
エッセイともノンフィクションとも小説とも断じかねる文章の集まり。これはかなり現実に即していそうだな、と思えるものもあれば、これはある種のファンタジーなのかな、という作品もあったりで面白かったです。書かれている物事はまるで違うけど、現実と虚構のあわいをいくという意味では実話怪談にも通ずるものがあるかもしれません。/派手なネクタイが似合う人生と似合わない人生を描いた「ネクタイの向こう側」、老いたタクシードライバーの人生をお玉ですくい取ったような「最後のダービー」が特に良かったです。
読了日:06月22日 著者:沢木 耕太郎
博士の本棚 (新潮文庫)博士の本棚 (新潮文庫)
タイトルには「博士の〜」とありますが、『博士の愛した数式』に関わる話はほとんど出てこないので注意です。悪く表現するならば、便乗商法ですね。「本棚」なのでもちろん本の話がメインですが、飼っている犬の話なんかも挿入されます。これを是か非か人によると思いますが、ぼくは彩りが出て良かったと思います。/しかし小川洋子は本当に『アンネの日記』が好きなのだなあ読んだことがないので、一度読んでみようかな。
読了日:06月21日 著者:小川 洋子
バット・ビューティフルバット・ビューティフル
フィクションとノンフィクションの隙間を抜けるような1冊。これを読むとすべてのジャズ演奏家がアル中・ヤク中かもしくは人格破綻者のように思えてしまいます。まあ、そういうテーマで人選したのでしょうが……。そんなでもやっぱり美しいものはありますね。村上春樹の訳文も綺麗で良いと思いました。/しかし、「俺が言いたいことは喋りつくす」という雰囲気のあとがきはけっこうすごいですね。饒舌さに面食らいました。
読了日:06月20日 著者:ジェフ ダイヤー
西洋音楽史―「クラシック」の黄昏 (中公新書)西洋音楽史―「クラシック」の黄昏 (中公新書)
わりとわかりやすく西洋音楽(主にクラシック)について知ることができたと思います。序文に「自分の意見を入れていく」旨が書かれているので「私」の意見についてはとやかく言わないけれども、「音楽の洪水」について「現代人が抱えるさまざまな精神的危機の兆候が見え隠れしている」というのはどうなんだろう。まあいいか、そういう意見もあるのだろう。
読了日:06月18日 著者:岡田 暁生
無関係な死・時の崖 (新潮文庫)無関係な死・時の崖 (新潮文庫)
中期の作品集。初期作品を集めたものよりも文章そのものは読みやすいけど、文意は取りづらいことが増えたかな。ちょっと難解になったということかも。/自宅にあった誰だかわからない死体の扱いに困る(しかし、ひどい警察不信である)「無関係な死」、そりゃ、安部公房にロマンティックは期待していなかったけど……な「人魚伝」、四次元的ブラック企業を描いた「賭」あたりがお気に入りです。
読了日:06月17日 著者:安部 公房
生きるとは、自分の物語をつくること (新潮文庫)生きるとは、自分の物語をつくること (新潮文庫)
河合隼雄小川洋子による対談集。残念ながら河合隼雄が逝去なされたため、次回の予告も空中に浮かんだまま終わってしまって、残念でした。/基本的に河合隼雄のほうが多く喋って小川洋子は聞き役にまわることが多かったかな。色々な精神療法について、とか。/あと、致命的なネタバレはありませんがいちおう『博士の愛した数式』は読んでおいた方がいいかもしれません。その方がわかりやすいですし。
読了日:06月15日 著者:小川 洋子,河合 隼雄
或るろくでなしの死或るろくでなしの死
たくさんの物理的・精神的な死にまみれた小説群。いや、まったくもってろくでもない(褒めてます)。とにかく全編ほとんど鬼畜というのもなかなかすごい。やっぱり平山夢明は心霊や都市伝説もいいけど、小説を書いてほしいなあ。/お気に入りは助けるこどもを《選択》した家庭の悲劇が描かれる〈或る愛情の死〉、わりと後味が悪くもない気がしなくもない表題作かな。
読了日:06月14日 著者:平山 夢明
邪馬台洞の研究―私立伝奇学園高等学校民俗学研究会〈その2〉 (講談社ノベルス)邪馬台洞の研究―私立伝奇学園高等学校民俗学研究会〈その2〉 (講談社ノベルス)
前作に比べて駄洒落3割増し、伝奇3割減(まともに伝奇をやっていたのは邪馬台国関連の話をやった表題作くらいでは……)ですが、やはり楽しい。クライマックスへの伏線ではいままであまり出番のなかった伊豆宮先輩の出番もあるのかな、と思わせられます。期待。
読了日:06月12日 著者:田中 啓文
不可解な事件 (幻冬舎文庫)不可解な事件 (幻冬舎文庫)
事件シリーズ(というと別の作品みたいですね)第3作。基本路線は田舎の閉鎖性と人々の自意識がたいへん痛々しく絡まって事件が起こる、という1作目の『田舎の事件』とほぼ共通。なんというかじつに安定。安定の嫌具合。/お気に入りは人前に出るのが苦手なミステリ作家が講演会に出て……という「密室の蝿」、全体的な安さが素晴らしい「街角の殺人者」。
読了日:06月10日 著者:倉阪 鬼一郎
言霊たちの夜言霊たちの夜
言霊とタイトルについていますが、内容としてはコントの台本のような(特に「漢は黙って勘違い」はアンジャッシュですよね)。ワープロの誤変換ネタがやや強引ながらも楽しい「鬼八先生のワープロ」が良かったかな。「ミルクセーキ」とかはちょっとわざとらしかったけれど。/前半3編は脳みそを取り外して楽しめるようで良かったのですが、ラストの「情緒過多涙腺刺激性言語免疫不全症候群」はテレビ業界への皮肉が前に出てしまってあまり楽しませんでした。現代で言うには古びている内容でもありましたし……(すでに十分言われているような)。
読了日:06月08日 著者:深水 黎一郎
燃焼のための習作燃焼のための習作
いつもの堀江敏幸とはちょっとタイトルの雰囲気が違いますが、内容はわりといつもどおり。「燃焼」と呼ぶには穏やかで、「習作」と呼ぶにはあまりにも流麗。そんな1冊でした。/あっちへいったりこっちへいったりする話の数々が非常に心地良い。流されてここまで気持ち良い波もないだろう、という感じ。/印象に残った文章は鳩が平和の象徴というエピソードにおける「真の平和とは、なんの象徴もいらない状態ではないのか。」という一節。なるほど。たしかに。
読了日:06月07日 著者:堀江 敏幸
先生、巨大コウモリが廊下を飛んでいます!―鳥取環境大学の森の人間動物行動学先生、巨大コウモリが廊下を飛んでいます!―鳥取環境大学の森の人間動物行動学
たいへん読みやすくて楽しい本なのですが、もうちょっと横道に入って欲しかったというか、関係する挿話みたいなものが欲しかったかな。全体的に一本道な感があったので。それからアリが死んでしまった際「理由は聞かないでほしい」とあるけど、気になります……。
読了日:06月05日 著者:小林 朋道
クリスマス・イヴ (中公文庫)クリスマス・イヴ (中公文庫)
いわゆるサイコ・キラーもののサスペンスホラー。手に汗握る裏のかきあいが面白かったです。相変わらずリーダビリティが高くて一気に読んでしまいました。しかし、こういう作品にはよくあることとはいえ、道中、主人公とヒロインはいちゃつきすぎではないかなあ。殺人鬼に追われているのに……。危機敵状況だからこそ、というのもありますが。
読了日:06月04日 著者:岡嶋 二人
そこのみにて光輝くそこのみにて光輝く
80年代特有の空気感とともにアラサー(もちろん当時はこんな言葉ありませんでしたが)たちの日常を描いた長編。個人的には少し安定しつつもやっぱり不安定な結婚後を描いた第二部が好み。松本さんはイケメン。片目が潰れているけど。拓児さんはいい人ですね。佐藤泰志作品は優しいので好きです。優しいけれど、上手くいかないことも多々ある、そんなところも好き。
読了日:06月03日 著者:佐藤 泰志
蓬莱洞の研究―私立伝奇学園高等学校民俗学研究会〈その1〉 (講談社ノベルス)蓬莱洞の研究―私立伝奇学園高等学校民俗学研究会〈その1〉 (講談社ノベルス)
再読ー。前に読んだときはこの巻で止まってしまったので、今回はちゃんとシリーズ3冊読みきりたいです。/伝奇で始まって駄洒落で終わる、が定番のこのシリーズ、特に「黒洞の研究」は駄洒落密度が高くて好みでした。いやあ、くだらない(面白い)。/さりげなくギャンブルの鬼だったり吐瀉させられたりで伊豆宮先輩はひどい扱いを受けている気がしてならない……。特に解決に役だっているわけでもないし……。
読了日:06月02日 著者:田中 啓文
一号線を北上せよ一号線を北上せよ
89年から2002年と書かれた時期はバラバラですが、違和感なく読めるのはすでに沢木耕太郎の文章に透徹したなにかがあるからなのでしょう。/「キャパ その死」や「壇」を読んでいるほうが楽しめる文章があってちょっと残念。ただ、ぼくはキャパにも檀一雄にも特に興味を持っているわけではないので……。/面白かったのはボクシングのフォアマンの話である「象が飛んだ」、タイトル通り(と言えるかどうかは微妙なのですが)ヴェトナムの一号線を北上する「ヴェトナム縦断」あたりかな。
読了日:06月01日 著者:沢木 耕太郎

2012年6月の読書メーターまとめ詳細
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