hirayama46の日記

とりとめもなく書いています。

9月の読書メーター

 9月に読んだ本の冊数は20冊でした。多くもなく、少なくもなくといったくらいでしょうか(ぼくにしては)。
2012年9月の読書メーター
読んだ本の数:20冊
読んだページ数:6029ページ
ナイス数:92ナイス

グッド・バイ (新潮文庫)グッド・バイ (新潮文庫)感想
太宰治の後期の作品を収めた短篇集。やっぱり太宰治はわりと読みやすいところがいいですね。内容は直球の私小説からどこまでが虚構なのかな? と思わせる作品まで様々。戦後の虚しさを描いた戯曲2作が特に良かったです。/しかし、太宰はどこか自分を道化にしたがる部分があると思うのだけれども、絶筆の作品が「グッド・バイ」というのもどこかおどけている感じがしますね。短いながらも変な小説でありました。これ、このまま進行させるつもりだったのかなあ。
読了日:9月29日 著者:太宰 治
洋食屋から歩いて5分洋食屋から歩いて5分感想
食べものに関するエッセイ集。片岡義男の文章は、気取っているのだけどどこか素直なところもあって好きです。なかなか他では得がたい気がします。/田中小実昌との奇妙な半日を描いた「コーヒーに向けてまっ逆さま」が良かったです。コミさん、変な人だったんだなあ。
読了日:9月28日 著者:片岡 義男
ANGEL+DIVE〈2〉REUNION (一迅社文庫)ANGEL+DIVE〈2〉REUNION (一迅社文庫)感想
すっかり依慧さんは唯一の常識人枠として定着したなあ……。/この作品、後半にバトルを入れなきゃいけないという制約があるのかは知りませんが、バトルのおかげで物語のバランスが崩れているように見えたのですが、どうなのでしょうか。伊玖くんに出番を与えなくてはいけないのはわかるのですが。/ローラン兄妹は早くも蚊帳の外の予感が……。
読了日:9月26日 著者:十文字 青
宇宙は本当にひとつなのか―最新宇宙論入門 (ブルーバックス)宇宙は本当にひとつなのか―最新宇宙論入門 (ブルーバックス)感想
「最新宇宙論入門」をうたっているだけあって、宇宙初心者のぼくでもそれほど詰まるところなくすらすら読めました(多次元宇宙は感覚的にちょっとわからないものがありましたが)。宇宙については10年前に比べてもずいぶんとわかったことが増えているけれども、まだまだわからないことだらけ、という印象。これから10年後にはどうなっているでしょうか。/しかし、暗黒物質と暗黒エネルギーってまったく違うものなのに似たような名前がついているのはなぜなのでしょうか。何物かわからないから暗黒と呼んだのかな。
読了日:9月25日 著者:村山 斉
ふたりの距離の概算 (角川文庫)ふたりの距離の概算 (角川文庫)感想
再読―。こうしてシリーズを通読してみると、『氷菓』が出てから8年間、米澤穂信はめきめきと技巧的になっているということがよくわかりますね。比較的ストレートだった『氷菓』やさらにひねりを加えた『愚者のエンドロール』と比較しても見せ方の違いはかなり変化したと思います。/後味のビターさもシリーズ随一で、『愚者のエンドロール』とはまた違ったかたちで奉太郎は己の無力感を味わってしまうわけで、切ないですね。/福ちゃんと伊原さんのこれからがどうなるのか、続刊が楽しみです。
読了日:9月23日 著者:米澤 穂信
綾辻行人と有栖川有栖のミステリ・ジョッキー(3)綾辻行人と有栖川有栖のミステリ・ジョッキー(3)感想
シリーズ3作目で最終巻。いままでのシリーズのことはちょっと忘れてしまっているので比較できませんが、やっぱりこういう企画に載せる短編はその作家を代表する作品であってほしいのですが、山村美紗栗本薫はこんなものなのかな、と少し思ってしまいました。つまらなくはないけれど、物足りない感じ。チェスタトンの読みづらさは原典か翻訳か……。鮎川哲也ははじめて読んだのですが、思ったよりも人を見る目が厳しいですね。最後の仕掛けは作者のドヤ顔が想像されて少々なんというか、困りました。
読了日:9月22日 著者:綾辻 行人,有栖川 有栖
いま集合的無意識を、 (ハヤカワ文庫JA)いま集合的無意識を、 (ハヤカワ文庫JA)感想
エッセイ風小説的小論文チックな作家としての意思表明、といった感じの表題作など、神林長平らしく難解な部分も多いのですがそれも含めて楽しめました。他の短編も普通に始まって異常な広がりを見せる、みたいなものが多かったように思えます。「切り落とし」の展開のブーストに象徴されるような。
読了日:9月20日 著者:神林 長平
最果てアーケード最果てアーケード感想
世界の果てにあるかのようなアーケードの店主たちやそれ以外の人物を描いた連作短編集。「BE・LOVE」連載のマンガ原作とはいえ、内容はいつもの小川洋子なのであまり気にせず読むのが良いと思われます。ぼくはマンガの方をちっとも読んでいないのでそちらも読んでみようかな、と思いました。「BE・LOVE」ブランドなど恐れずに。/しかし、遺髪専門のレース編み屋さんとか、やっぱりさりげなくすごいなあ、としみじみ思います。キャラクターでは百科事典売りのおじさんが好きです。
読了日:9月18日 著者:小川 洋子
新装版 アームストロング砲 (講談社文庫)新装版 アームストロング砲 (講談社文庫)感想
幕末、歴史を動かした人々ではなく、むしろ歴史の流れに動かされたような人物を描いたものが多かった印象。幕末ハードボイルド系捜査小説「壬生狂言の夜」、おなじみの沖田総司が主人公の「理心流異聞」あたりが好みでした。なお表題作は右手にアームストロング砲をつける男ではないので気をつけてください。実際、大砲を右手につけたらどこから火薬を入れるのだろうか。どうでもいいことですが。
読了日:9月17日 著者:司馬 遼太郎
新耳袋―現代百物語〈第6夜〉 (角川文庫)新耳袋―現代百物語〈第6夜〉 (角川文庫)感想
やはりラストの幽霊マンションの話が印象に残っています。これだけ怪異があってよく長い間住み続けたものだなあ、と変な感心をしてしまいました。/今回から章立てが漢字1文字になって、いままでよりもファジイになりました。次に何が出るのかわかりにくい方が楽しいと思うのでいいのではないでしょうか。/「妖にまつわる九つの話」の序文で「存在や真偽ばかりを考えずに読んでいただきたい」とあったけど、そもそもこういう本を読む時に現実に即して考えたことがない(まったく信じていない)ぼくは少数派なのだろうか。
読了日:9月15日 著者:木原 浩勝,中山 市朗
OUT OF CONTROL (ハヤカワ文庫JA)OUT OF CONTROL (ハヤカワ文庫JA)感想
冲方丁といえば、熱に浮かされたかのように計算された文章を書く人、というイメージがあるのですが、タイトルとは違って表題作はまさしくそんな感じでした。/「日本改暦事情」は今読むと『天地明察』のダイジェストといた趣が強いので、できれば『天地明察』を先に読んだほうがいいかも。/異形コレクション収録作2作もハヤカワJAらしからぬ味わいですが、この混沌とした短篇集にはぴったりなのかも。
読了日:9月14日 著者:冲方 丁
ブックストアで待ちあわせ (新潮文庫)ブックストアで待ちあわせ (新潮文庫)感想
アメリカに関するエッセイ集かと思ったら、洋書にまつわる本でした。かなりニッチな本に思えますが、紹介されている本はジャンルも様々で、出版されている本からもアメリカという国のお国柄がにじみ出ていますし、なかなか興味深かったです。/ぼくは英語がさっぱりなので洋書には縁がないですが日本の本でももっといろんなジャンルの本を読まないとなあ、と思いました。/面白かったのはボディビルダーの女性にまつわる話とアメリカは甘くて柔らかい食べ物が大好き、という話かな。
読了日:9月12日 著者:片岡 義男
みるなの木 (ハヤカワ文庫JA)みるなの木 (ハヤカワ文庫JA)感想
わりといつもな感じの椎名誠SFとあまりSFっぽくない、現実を舞台にした小説も併録されております。『武装島田倉庫』のキャラクターが再登場するのでそちらが気に入った人はぜひこちらも。未読でも問題なく楽しめると思います。/わりとオチがない話が多かった気がするけれど、椎名誠のSFはそれで平常運転といった感があり、相変わらず「浸れる」世界観が魅力的なのです。非SFではホームレスたちがトイレの裏に穴を掘って暮すことになる「巣」が好みでした。「突進」の馬鹿馬鹿しさも素敵です。
読了日:9月11日 著者:椎名 誠
いつか、君へ Boys (集英社文庫)いつか、君へ Boys (集英社文庫)感想
これでこのシリーズを読むのも4冊目なので、コンプリートということになります。この本は……個人的にはシリーズのなかではいまひとつだったかな。好みも大きいと思いますが。/いちばん好きなのは読む前からうすうすそうじゃないかなあ、と思っていましたが米澤穂信でした。このシリーズで最もミステリ度が高くスリリングで、適度にライトな雰囲気が良かったです。疑問点もありましたが。/朝井リョウ(初読でした)の「ひからない蛍」はいくらなんでもクサすぎませんか……。
読了日:9月9日 著者:
旅の理不尽 アジア悶絶編 (ちくま文庫)旅の理不尽 アジア悶絶編 (ちくま文庫)感想
「日常生活は理不尽に満ちている。旅とあればなおさらだ」という金言はいま作りましたが、とにかく旅というのは色々と面倒事が多いものだなあ、と思いました。ちょくちょくはさまれるギャグもまた理不尽に耐える術なのだろう(適当)。
読了日:9月8日 著者:宮田 珠己
謎(リドル)の謎(ミステリ)その他の謎(リドル) (ミステリ・ワールド)謎(リドル)の謎(ミステリ)その他の謎(リドル) (ミステリ・ワールド)感想
結末が明示されないいわゆるリドル・ストーリーを集めた短篇集。趣向からしてマニアックですが、得意の作者偽造メタネタなんかもあって山口雅也らしくたいへん凝っております。/「異版 女か虎か」はぐねぐねしてたいへん良かったですが、便概が乗っているとはいえ本家の「女か虎か」を読んでいないので十全に楽しみ切れているかは不明です。/展開が進むたびに謎が深まっていく「見知らぬカード」、謎謎を出題する奇妙な連続殺人鬼を描いた「謎の連続殺人鬼リドル」が好みでした。しかし、ラストはまるでわかりませんでした……。
読了日:9月7日 著者:山口 雅也
屍者の帝国屍者の帝国
読了日:9月6日 著者:伊藤 計劃,円城 塔
燃えつきた地図 (新潮文庫)燃えつきた地図 (新潮文庫)感想
なかなか安部公房らしく難解、でも読んでいて楽しい不思議な肌触り。基本的には失踪した男を探す捜査小説?チックな話なのですが、その手がかりのつながりが明確なのか茫漠としているのかもよくわからなくて、いつもどこかにピントが狂った場所にいるような気分になりました。たどっていた地図が完全に燃えつきた時主人公はいったいどうなったのでしょうか。
読了日:9月4日 著者:安部 公房
七年目の脅迫状 (講談社文庫)七年目の脅迫状 (講談社文庫)感想
脅迫から始まるつくりで、いつもどおりサスペンスな感じなのかな、と思ったら意外と複雑な思考が交錯するロジカルなミステリでした。ちょうど集中力が無いときに読んでしまったので(すいません……)あまり把握できていない面もあるのですが、面白かったと思います。
読了日:9月2日 著者:岡嶋 二人
シュガータイムシュガータイム感想
過食症になってしまった主人公が、太りも吐きもせずにただ淡々と食べ続けるだけ、というのが小川洋子らしいところかな。全体的に粛々とものごとは進んでいきます。/シュガーと呼べるほど甘ったるい時間ではないような気がするけど、青春時代というものは、一度溶けたらもう固形には戻れないのは角砂糖といっしょですね。
読了日:9月1日 著者:小川 洋子

読書メーター