hirayama46の日記

とりとめもなく書いています。

2月の読書メーター

 2月の読了冊数は27冊でした。おおよそ1日1冊。ぼくにしてはなかなかいいペースで読めているのではないかしら。
2013年2月の読書メーター
読んだ本の数:27冊
読んだページ数:7971ページ
ナイス数:107ナイス

冠 OLYMPIC GAMES冠 OLYMPIC GAMES感想
沢木耕太郎によるアトランタオリンピック観戦記。なにしろ96年のことなのであまりぼくは憶えていないのですが、盛り上がりに欠けるところのあったオリンピックらしく、沢木耕太郎もあまり楽しんで観ている感じはしないな、と思いました。そもそも近代オリンピックというもののつくりについても疑問を持っているようですが。/村上春樹の「シドニー!」と合わせて考えると、オリンピックというのは言ってしまえば同じようなことの繰り返しなのかなあ、と観る分には思ってしまいます。そう考えると4年に一回という開催期間は絶妙なのかも。
読了日:2月28日 著者:沢木 耕太郎
都市伝説セピア都市伝説セピア感想
はじめての朱川湊人。これはかなり好みの短篇集でした。ホラーを基調としながらもSF風味、ミステリ、ノスタルジー、いい話風などジャンルは多岐にわたっているので器用な人だなあ、と思いました。どれも良かったですが特にお気に入りはサイコ・ホラーミステリな「フクロウ男」とちょっと連城三紀彦っぽい情念が印象的な「死者恋」あたりかな。
読了日:2月27日 著者:朱川 湊人
Baby Princess〈3〉 (電撃文庫)Baby Princess〈3〉 (電撃文庫)感想
今回のメインは立夏とヒカル、ときどき氷柱。お話としてはまだ途中なのでなんとも言えませんが、やはりこの姉妹たちが生き生きと会話しているだけでたいへん楽しめるシリーズであります。公野マジック、かかっているなあ。/マリアちゃんはあざとかわいい。/星花は今回セリフひとつもなかったかな? 星花推しなのでやや淋しいです。
読了日:2月27日 著者:公野 櫻子
幽霊刑事 (講談社文庫)幽霊刑事 (講談社文庫)感想
有栖川有栖の長編らしく、多分に地味ではあるのですがこれはかなり良い部類に入る気がします。伏線が細やかで幽霊設定にもちゃんと必然性がありますし、それなりに長めの長編ですが飽きずに読めました。ラブストーリーも有栖川有栖らしい甘さですが、それが良いです。
読了日:2月25日 著者:有栖川 有栖
ひとつ目女 (文春文庫)ひとつ目女 (文春文庫)感想
わりといつもな感じの椎名誠の超常SF。特に展開に大きな山場があったりせず、基本的には行き当たりばったりに世界を放浪する感覚。殺伐としていながらもどこかのんきなのがたいへん椎名SFらしいところです。大金の元と活動していてもまったく頓着していないように見えるとことか、らしいなあ。
読了日:2月24日 著者:椎名 誠
路上の視野〈3〉地図を燃やす (文春文庫)路上の視野〈3〉地図を燃やす (文春文庫)感想
シリーズ3冊目。この巻は「異国」「自身」のテーマを収録。やはり「深夜特急」シリーズから沢木耕太郎に入門した者としては異国の話が興味深かったです。今とはだいぶ世界の様相も異なっているだろうけど(なにしろ30年以上前の文章なので)、香港の60セントの豪華な航海はいまでは何ドルになっているのだろうか。
読了日:2月23日 著者:沢木 耕太郎
これでよろしくて? (中公文庫)これでよろしくて? (中公文庫)感想
たぶん、この小説を読んで気が滅入る人とそうでない人がいると思うのですが、ぼくは前者でした。うーん、ターゲットとされる読者層から年齢・性別等が離れていたのも一因かもしれません。/家族の有り様とは。
読了日:2月22日 著者:川上 弘美
浪漫的な行軍の記録浪漫的な行軍の記録感想
浪漫的というには肉体的であまりにも苛烈な行軍を描いた短めの長編。そんな極限状況を描いていても奥泉光は重さと軽さが同居する不可思議な筆致でぐいぐい読ませます。世界の融解っぷりはやはりこの人らしいところであります。/死者が生者で生者が死人で。
読了日:2月21日 著者:奥泉 光
ぷりるん。―特殊相対性幸福論序説 (一迅社文庫)ぷりるん。―特殊相対性幸福論序説 (一迅社文庫)感想
出てくる女の子は変人か痴女で、主人公は饒舌に喪失を語る、なんというか、(そんなにたくさん読んでいるわけではないですが)十文字青だなあ、という作品。しかし、いくら実験的試みとはいえぷりるんに感情移入させるのはさすがに無茶だと思った次第です。/いっそのこと、登場人物全員とのHシーンを用意してジュブナイルポルノレーベルで出したほうが良かったのではないだろうか、と思わなくもないです。
読了日:2月19日 著者:十文字 青
密室蒐集家 (ミステリー・リーグ)密室蒐集家 (ミステリー・リーグ)感想
うーむ、これは……。どの短編も密室ものとして「どのように解かれるか」のプロセスが予想外で面白いですし、ネタそのものも面白いものが多いのですが、釈然としない部分も多いような……。密室蒐集家の存在は小説の虚構性を深めることによって、ロジックに奉仕するために現実感の乏しさをカバーしているのだと思うのですが、やはり腑に落ちないものは落ちないのですよね……。「どうしてこの情報を隠すのか?」が納得できない部分があったので。
読了日:2月18日 著者:大山 誠一郎
怪魚ウモッカ格闘記 インドへの道 (集英社文庫)怪魚ウモッカ格闘記 インドへの道 (集英社文庫)感想
未確認生物であるウモッカなる魚を探しにインドへ行こう! という一冊。前半は事前調査に費やされていて、なるほど、UMAの調査には入念な下準備が肝心なのだな、と思いつつ後半にさしかかり、あ、あれ……。詳しくは書きませんが、お、おう。というしかない感じの展開に。いや、面白かったからいいのですが。わりとびっくり。
読了日:2月17日 著者:高野 秀行
マジックミラー (講談社文庫)マジックミラー (講談社文庫)感想
時刻表を使ったミステリは苦手なのですが、これは面白かったです。いくら日本の交通機関が時間に正確とはいえそこまで上手くいくかはわかりませんが……。トリックとしては、やはり時刻表が関連しない第二の事件のものの方が面白みを感じました。全体的にわざと見え見えにしている部分の操作がとても巧妙で、見える部分が多いゆえにかえって見えなくなる部分が出てくるのが面白いな、と思いました。
読了日:2月16日 著者:有栖川 有栖
希望 (ハヤカワ文庫JA)希望 (ハヤカワ文庫JA)感想
読む前から予想はしておりましたが、やはりなかなかに晦渋。瀬名秀明のロマンティストな面が前面に出ている作品はともかく、サイエンスの要素をどしどし盛り込んだ作品はさすがにぼくの読解力ではちと厳しかったです。表題作なんかも、再読すれば新しい景色が見えるかしら……。
読了日:2月15日 著者:瀬名 秀明
死んでも負けない死んでも負けない感想
古処誠二の作品なのにポップな感じの表紙だったので驚きましたが、内容の方もいままでの古処作品とはちょっと違う、ややゆるめの作風になっております。/口を開けばビルマビルマ、なお爺さんを主軸にした家族小説なのですが、考えてみなくても戦争なんてのは起こらないほうがいいに決まっています。この口うるさいけどどこかのほほんとしたお爺さんは忌避するべきものをアイデンティティに据えているのは、ある意味では狂気の産物ともいえるわけで、表層はのんびりとした小説ですが、やはり戦争の狂気というものを考えてしまいます。
読了日:2月14日 著者:古処 誠二
本にだって雄と雌があります本にだって雄と雌があります感想
なるほどー。さすが3年間の間隔があった所為か、作りこまれているなあ、といった印象。一文一文にまできっちり目が行き届いていて、さらっと流したような文章が全然ないのはなかなかすごいなあ、と思いました。その分読みやすさは少々失われておりますが、これは仕方がないことかもしれません。
読了日:2月13日 著者:小田 雅久仁
獄門島 (角川文庫)獄門島 (角川文庫)感想
初読じゃが仕方がない(なにがだ)。そんなわけで、オールタイム・ベストにも押されることが多い本作をはじめて読みました。個人的にはオールタイム・ベストかと言われるとちょっと首を傾げてしまう部分もありますが(アガサ・クリスティの某有名作を読んだときと同じような感じでした。ぼくがミステリ読みとしてわりと邪道だからかも)、なかなか楽しめました。
読了日:2月11日 著者:横溝 正史
七夜物語(下)七夜物語(下)感想
上巻の感想では大人向けのこどもが主人公のファンタジーは色々と難しい、と書きましたが、読み終えてみると納得の一冊でした。終盤のさらりとした味わいといい、これだけの分量がありながらもくだくだしいところが感じられなかったのも良かったと思います。
読了日:2月10日 著者:川上 弘美
七夜物語(上)七夜物語(上)感想
川上弘美の現時点での最長の長編になるのかな。非常に読みやすくさらさらと読めるのが良いです。/しかし、こういう大人向け(たぶん)でこどもが主人公のファンタジーというのは色々と難しいなあ、とは思いました。/総理大臣が福田赳夫ということは77年か78年くらいかしら。馴染みのない年代だなあ。川上弘美の小学生時代とも少しずれているのですね(川上弘美は58年生まれ)。ふむふむ。
読了日:2月9日 著者:川上 弘美
路上の視野〈2〉ペーパーナイフ (文春文庫)路上の視野〈2〉ペーパーナイフ (文春文庫)感想
沢木耕太郎のシリーズものエッセイ。この巻は作家論・書評だけで構成されております。比較的ノンフィクションが多めに紹介されているのですが、よほどのものでも無い限り30年前に刊行されたノンフィクションには手が伸びづらいなあ、と思いました。小説なら100年以上前の本でも読もうと思えるのですが。/わりと辛辣な論調の書評も多いのですが、あまり反感を抱くことがないのは沢木耕太郎の評価軸にぶれがない所為かしら。
読了日:2月8日 著者:沢木 耕太郎
ハムレット・シンドローム (ガガガ文庫)ハムレット・シンドローム (ガガガ文庫)感想
予習としてシェイクスピアの『ハムレット』は読みましたが、久生十蘭は未読でした……。機会があったらチェックしますです。でも、ハムレットの知識は(あるにこしたことはないけれど)無くても大丈夫だった感じです。/五者五様の幻想が一人称で語られるとてもぐねぐねした構造で、これは一本の線に繋げられるのかな。ちょっと読者としてそこまでの理解はおぼつきませんでした。/どちらかと言えば常識人の語りよりも逸脱しているような人の語りの方が筆が乗っている気がするのは、樺山三英の作家性というものなのかもしれません。
読了日:2月7日 著者:樺山 三英
夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)感想
再読ー。シリーズの中でも一等好きな作品ですが、やはり面白かったです。「小佐内スイーツセレクション・夏」をめぐるお話なのにまったくスイートではなく、たいへん容赦無い話ですが、そこが素晴らしいですね。
読了日:2月6日 著者:米澤 穂信
SHINO ―シノ― アリスの子守唄 (富士見ミステリー文庫)SHINO ―シノ― アリスの子守唄 (富士見ミステリー文庫)感想
シリーズ2作目。前作よりもミステリしている感じ。あとがきでも書かれている通り、事件の構図を予想するのはそれほど難しくありませんが、ちゃんとひねってあって好感が持てました。ミステリ的なガジェットを使って多感な少女の心情を描くのが眼目だと思われる(たぶん)ので、そこまでミステリ的な期待をするのは禁物ですが。志乃ちゃんは相変わらずかわいいですし。LOVE寄せなのかはわかりませんが。
読了日:2月5日 著者:上月 雨音
螢坂螢坂感想
前2作に比べるとミステリ濃度はだいぶ薄まった印象。人情話っぽい物語が多くなっていたかな。収録作でいちばんトリッキーな構成な「双貌」が好みでした。
読了日:2月4日 著者:北森 鴻
斜陽 (角川文庫)斜陽 (角川文庫)感想
読み終えても、なぜ表紙が幼女なのかさっぱりわかりませんね。まあそれはいいとして、久しぶりの太宰治。やっぱり文章が読みやすくてリズミカルなのが良いです。滅びの美学的なものに関してはあまり共感できないのですが(死に美しさを見いだせない人だからかもしれません)、なかなか興味深く読みました。上原さんについてもっと知りたいなあ。
読了日:2月3日 著者:太宰 治
羊男のクリスマス (講談社文庫)羊男のクリスマス (講談社文庫)感想
村上春樹佐々木マキタッグの絵本のような本・第二弾(書かれた年代はこちらが後だと思われます。単行本化はこっちの方が早かったようですが)。こちらの挿絵は『ふしぎな図書館』に比べて佐々木マキセンスは抑えめかな。羊博士やねじけさんのキャラデザは素敵。
読了日:2月2日 著者:村上 春樹,佐々木 マキ
ふしぎな図書館 (講談社文庫)ふしぎな図書館 (講談社文庫)感想
再読ー。村上春樹佐々木マキのタッグによる絵本のような本。挿絵に佐々木マキのセンスが前面に出ていて良いです。どこかハートフルな悪夢的なヴィジョンが素敵です。ラストの展開は完全に忘れていたのでけっこうびっくりしました。そうか、こんな終わり方だったのか……。
読了日:2月2日 著者:村上 春樹,佐々木 マキ
ゆみに町ガイドブックゆみに町ガイドブック感想
これはなかなか変なものを読んだなあ。ふわふわしているようで神経症的なようでもあり。3つのパートは交わるようですれ違ったり。なんだか不思議な居ずまいの小説でありました。作中でも言及されている「小説と物語の相違」についても意識的な作品だったように思えますが、読み手としてのスキルが足りずその辺はよくわかりませんでした……。
読了日:2月1日 著者:西崎 憲

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