山田風太郎「剣鬼喇嘛仏」
- 作者: 山田風太郎
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2002/07
- メディア: 文庫
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というわけで、未読の方は気をつけてください。という話を枕にして感想。この本が実際どうだったかというと……
「この人、頭おかしー!」 CV:斉藤千和
……という感じ。山田風太郎の狂いっぷりは長編を呼んで少しは分かっていたつもりでしたが、ちょっと認識が甘かった。この人は正真正銘のクレージーでした。あまりにもイカれすぎている短編ぞろいで死ぬほど面白かったです。
何しろ全部の短編が奇想に満ちた愉しい作品であるが故にどれも好きなのですが、強いて選ぶとすれば「伊賀の聴恋器」「剣鬼喇嘛仏」。
「女郎屋戦争」いきなりこの短編集を象徴するかのような大法螺かつ大馬鹿話。国営VS民営の女郎屋の争い。そしてその話に伊賀忍者がどう関わってくるか。意外で良い味のオチです。
「伊賀の散歩者」忍法帖なのにパロディー。あ、ありえない。本当に剣呑な方です。
「伊賀の聴恋器」山風独自の理論に基づく仰天発明に爆笑です。全く予想もつかない展開と、ろくでもないオチが素晴らしい。
「羅妖の秀康」あんまり驚けなかったのはアイディアが似てる短編をもう読んでた所為かもしれません。(ちなみに山風作品です)
「剣鬼喇嘛仏」発想がキレてます。というかこの着想を切ない話にするとは……俄かには信じられない事です。
「春無兵」……なんだこのオチは。
「甲賀南蛮寺領」この短編集には珍しい(多分)真面目な話。宗教関係の風刺は筆が冴えますね。