小路幸也「東京バンドワゴン」

東京バンドワゴン (1)

　日常系ミステリ風味下町人情小説？自分で書いていて意味が分かりませんが、そんな感じです。個人的には一時期のこち亀を思い出していたのですが、あとがきによると昔のホームドラマを意識して書かれたそうです。ぼくは全然ドラマを見ない人なので明言はできませんが、この昭和感覚はその辺に由来するのでしょうね。
　今作も普通の人なら照れが入りそうな展開も直球で見せてくれるのが素敵です。ここまで駆け抜けてる作品もそうそう無いと思います。むしろ読んでいる方が恥ずかしくなるくらいであります。
　そんな訳でとても面白かったのですが、古本屋がカフェを兼ねているという設定だけが妙に浮いている、というか活用されてなかったような気がします。全体的にとても上手い作品なだけに少し不思議。
　
　直木賞候補くらいにはなって欲しかったのですが、少し残念。本屋大賞とか獲ってくれないかなあ。