hirayama46の日記

とりとめもなく書いています。

2月のまとめ

 せっかくなので、こっちにも読書メーターのまとめを貼っておくことにしました。2月は27冊。引き続きわりと多めに読めてますね。
2月の読書メーター
読んだ本の数:27冊
読んだページ数:7499ページ
ナイス数:62ナイス

道化師の蝶道化師の蝶
お話のわかりにくさとしては星3つくらい(5つが最高)で、『烏有此譚』と同じくらいかなあ。「芥川賞だから〜」で手に取るには少々厳しいかも。物語性はわりと豊富ですが、円城塔の物語性は特殊な部分が多いので……。正直ぼくもいつもながらよくわかりませんでした。でも好き。/そういえば、かなり前にtwitterで唐突に手芸を始めていたなあ。この本のためだったのか。
読了日:02月29日 著者:円城 塔
ポーカー・フェースポーカー・フェース
「バーボン・ストリート」「チェーン・スモーキング」に続くエッセイ集。作中で良いエッセイについて「よく練られた」と「素直な文章」を挙げていましたが、そんな感じの本でした。よく練られていて、文章は素直。/「氷が解けると……」にまつわる話と、「団塊の世代という言い方が嫌い」という話が印象に残りました。
読了日:02月28日 著者:沢木 耕太郎
ホット・ジャズ・トリオホット・ジャズ・トリオ
150ページほどの中編と15ページ、50ページほどの短編を収録。メイン・ディッシュである「ジャンゴ・ラインハルトのブルース」からして難解で、ボックス・マジックで異世界にいったり、シルクと会話したり、コクトーピカソも出てくるしでわけがわかりません。こういうのをシュールレアリズムというのかなあ、と思いました。アンドレ・ブルトンの名前も出てきますし。/「ナイル川のブルース」は箸休め的な小品。「貨物列車のブルース」もかなり難物。奇妙な三人組のロード・ノベルですが、意図がわからない何かが山積みであります。困った。
読了日:02月26日 著者:ウイリアム・コツウィンクル
大きなハードルと小さなハードル大きなハードルと小さなハードル
「秀雄」を主人公にした前半部と、ノンシリーズの長めの短編を収録した後半部に分けられます。前半部の主人公はやはり作者自らの投影なのかな。/この本全体として、どことなくだれといっしょにいても孤独なような、幸福が存在していてもどこか別の所にあるような、そんな世の中とのすれ違い感がある気がして、なんとなく共感してしまうのです。作者の最期を知ってしまっているからかもしれません。/最後の「夜、鳥たちが啼く」はどことなくポジティブだったかな。
読了日:02月26日 著者:佐藤 泰志
妄想銀行 (新潮文庫)妄想銀行 (新潮文庫)
個人的に好きな「鍵」が収録されている作品集。それ以外では人間的なロボットの意外な本質が印象的な「人間的」、薬品を使ってモルモットを長生きさせるのはどの製薬会社かを競わせる「長生き競争」は存外馬鹿馬鹿しくって楽しい一品。アイロニカルな「宇宙の英雄」も良かったです。
読了日:02月25日 著者:星 新一
ふたりの女 (1977年)ふたりの女 (1977年)
短編3本と、100ページ程の中編を1本収録。どれも良いですが、気に入ったのはとある入院患者を描いた「回廊の夜」と、街にとらわれるような感覚とともに生活していた男の兄が消えてしまって……という中編「とらわれの冬」の息苦しさが良かったです。ラストにちょっとした希望のようなものを残しているあたりも良いです。/全体的に閉塞感があり、独特の生き苦しさみたいなものがあって、不思議な魅力となっている一冊でした。
読了日:02月24日 著者:野呂 邦暢
象工場のハッピーエンド (新潮文庫)象工場のハッピーエンド (新潮文庫)
再読ー。先日読んだ「ランゲルハンス島の午後」よりもさらに見開きのカラーイラストが増えていて、画集にちょっとした文章が付いている、という印象。とはいえその「ちょっとした文章」が味わい深くて良いのです。1980年代の匂いがする感じがします。
読了日:02月23日 著者:村上 春樹
明日という過去に (幻冬舎文庫)明日という過去に (幻冬舎文庫)
相変わらず歪なプロット……。そしてそれを流れるように読ませる、連城三紀彦、やはり異形です。嘘から出た真とは、というお話。/しかし、連城三紀彦はスワッピング好きですね。ネタにしやすいのかな。
読了日:02月22日 著者:連城 三紀彦
ティファニーで朝食をティファニーで朝食を
高校生のころに新潮文庫で読んだきりだったので、10年ぶりくらいの再読。やはりホリー・ゴライトリーという存在は印象的で魅力的なわけですが、好きになれるかは人による気がします。ぼくはあまり好きになれなかったし、10年前もたぶんそうだったのではないかなあ。/併録されている短編はどれも良くて、若者と老人の脱獄の話である「ダイアモンドのギター」と7歳と60余歳で互いをバディーと呼び合ういとこ同士(家系図が少し気になるところだ)の二人を描いた「クリスマスの思い出」が良かったです。……両方とも若者と老人の話だなあ。
読了日:02月21日 著者:トルーマン・カポーティ
世界を変えた6つの飲み物 - ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、紅茶、コーラが語るもうひとつの歴史世界を変えた6つの飲み物 - ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、紅茶、コーラが語るもうひとつの歴史
はじめてのトム・スタンデージ。というか海外もののノンフィクションを読む事自体ほとんど無いので、新鮮な気分で楽しめました。もっと読みにくいものかと思ったらそうでもなく、わりとすらすら読めました。/飲み物というのは嗜好品であると同時に渇きを潤す必需品でもあったわけで、交易でも高い価値を占めうる、というのは非常に納得のできることでありました。/わりと飲み物が欲しくなる本でありました。久しぶりにコカ・コーラを飲みたいなあ。
読了日:02月19日 著者:トム・スタンデージ
スローモーション (偕成社コレクション)スローモーション (偕成社コレクション)
93年刊行なので、言葉遣いに古さを感じるのは致し方ないところですね。もう20年も前だからなあ……。大勢においてはたいへんやりきれない物語でありながらもひとすくいの希望もある、バランスの良い小説だと思いました。八木玲子に幸あれ(なぜ彼女に、というか普通に結婚して幸せな家庭を築きそうなキャラなような)。
読了日:02月18日 著者:佐藤 多佳子
ランゲルハンス島の午後 (新潮文庫)ランゲルハンス島の午後 (新潮文庫)
再読ー。村上春樹安西水丸タッグによるゆるゆるエッセイ。とにかく読んでいての心地よさは他のどのエッセイにも代えがたいものがあります。文章そのものもそうですし、文章と絵のバランスもそれを生んでいるのだと思いました。たった110ページの本だけど、小確幸のある本だなあ。
読了日:02月17日 著者:村上 春樹,安西 水丸
風眼抄  山田風太郎ベストコレクション (角川文庫)風眼抄 山田風太郎ベストコレクション (角川文庫)
大体70年代に書かれたエッセイをテーマ別に編集した一冊。麻雀の話や永井荷風の話、江戸川乱歩の話あたりはけっこう気合を入れて書いてある感はあるけれど、全体的にはやっぱりのんびりと楽しむものかな。小説とエッセイを比べるのは馬鹿馬鹿しいですが、やっぱり山田風太郎は小説がいいなあ……と思いつつ未読の『あと千回の晩飯』も気になっているぼくであります。
読了日:02月16日 著者:山田 風太郎
都市と都市 (ハヤカワ文庫SF)都市と都市 (ハヤカワ文庫SF)
はじめてのチャイナ・ミエヴィル。海外SFは苦手なのですが、たまに読みたくなるのです。やはり理解がおぼつかないところも多かったのですが、警察小説を基調にしている分読みやすさは感じました。終盤のあれやこれやはサプライズだったのかなあ。うーん、SF的なことはやっぱりよくわかりません。
読了日:02月15日 著者:チャイナ・ミエヴィル
アラマタ生物事典アラマタ生物事典
意外なかたちで役に立つ、そんな生物たちを集めた一冊。さすが荒俣先生監修だけあって「へえ」と思う知識が多く楽しめました。遊び心もあるし、楽しい本でした。「海苔を消化できるのは日本人だけ」とか、なんだか不思議で素敵。/こういうので「役には立たないけど、面白い」生物事典があればいいのになあ、と思いました。それは他の本を開くべきなのでしょう。
読了日:02月14日 著者:
真田軍記 (角川文庫クラシックス)真田軍記 (角川文庫クラシックス)
それほど有名じゃないけど、文献にはきっちりと残っている人々を描いた短編集。そこまでくだくだしく叙情的に書いているわけではないのに、読み終えると情緒的な切なさが残るあたりがたいへん読み口でした。『真田軍記』に収録されていた4編が好みでした。特に好みだったの侍が百姓になったりする「むしろの差物」。
読了日:02月13日 著者:井上 靖
過負荷都市 (ハヤカワ文庫JA)過負荷都市 (ハヤカワ文庫JA)
神林長平、実験作だと娯楽的になって、娯楽作だと難解になる傾向がある気がします。この作品は中間から娯楽よりだと思いますが、後半、クォードラムとかクォードライザとか、ちょっと混乱してしまいました。「創壊」という概念もややわかりにくいかな。本線としては少年少女+おっさんの仮面ライダー(虫型パワードスーツだから)なのかなあ。それにタイトル通りカフカ的なものを詰め込んで……やっぱりよくわかりません。その辺の「何を考えているのかよくわからない」のも興味深かったりするのが世の中の難しいところですね。
読了日:02月11日 著者:神林 長平
流星ワゴン (講談社文庫)流星ワゴン (講談社文庫)
現代の親子関係を丁寧に、非常に丁寧に書かれた小説で、そのぶん余白というか読者にあるなにかしらの空白が存在しない気がして、良いのですが、一抹の寂しさもあります。
読了日:02月10日 著者:重松 清
五色沼黄緑館藍紫館多重殺人 (講談社ノベルス)五色沼黄緑館藍紫館多重殺人 (講談社ノベルス)
倉阪鬼一郎の7冊目(巻末リストによる)のバカミス。マンネリ感もなきにしもあらずですが、それを吹き飛ばす圧倒的なまでの不毛さには思わず感動すらしてしまいます。まさしく「バカミス」なラストには脱帽であります。/巻末リスト、「四重奏」「42.195」もバカミスとして分類されておりましたが、前からそうでしたっけ……「留美のために」なんかも十分に(以下略)。
読了日:02月08日 著者:倉阪 鬼一郎
パニック・パーティ (ヴィンテージ・ミステリ)パニック・パーティ (ヴィンテージ・ミステリ)
シェリンガムものの最終作にして「推理放棄」小説。謎解きをしたら事態が悪化してしまうのが目に見えているなか、名探偵のあるべき姿とは……。残ったのはイギリス流「人間観察」小説でした、という感じでしょうか。個人的には登場人物の15人(もしかして、「十五少年漂流記」を意識している?)というのは少し多くて、一人ひとりにページを割く余裕が無くなっていたようにも思えました。タイトルの「パニック」はまあ、それほどでもないので過度の期待は禁物です。
読了日:02月08日 著者:アントニイ・バークリー
伊豆の踊子 (新潮文庫)伊豆の踊子 (新潮文庫)
はじめての川端康成。文章は流石に良いと思いましたが、内容はあまり楽しめる余裕もなく終わってしまいました。踊子の「処女性」に心が洗われる表題作にしても、わりとグダグダとしたトークが続く「温泉宿」にしろいまいち理解がおぼつきませんでした。死者に対する生者の哀切をとうとうと語った「叙事詩」がいちばん好みだったかな。
読了日:02月07日 著者:川端 康成
プチ・プロフェスールプチ・プロフェスール
小学生の女の子と、その家庭教師が織り成す物理ミステリ。ミステリとしてはそれほど物理じゃなかったり(「投げ出し墓のバンディット」)、FMトランスミッターとかあるし、それほど不思議でもないのでは? と思ってしまう「恋するマクスウェル」など、ちょっとごつごつした感じが目立ったように思えました。/しかし、理系の女性が「リケジョ」などと特別なものとして扱われない社会になってほしいことだなあ、と強く思いました。女性が文系を選ぼうが理系を選ぼうが、別にいいのになあ。
読了日:02月06日 著者:伊与原 新
ムツゴロウ世界動物紀行 アフリカ篇 (SB文庫)ムツゴロウ世界動物紀行 アフリカ篇 (SB文庫)
一時期テレビでよく見かけた「ムツゴロウさん」ですが、そのメンタリティはやっぱり常人のそれとはかなり違うところにあるのではないかな、と思いました。命がけでオランウータンとコミュニケーションをとってみたり、ゴリラが食べていたとおぼしきキノコをペロッと口にして猛烈な下痢になったり、普通の一線を軽々と飛び越える印象があります。それほどまでに「動物愛護」というのは過酷な道なのかもしれません。「動物の命を守る」だけだったら比較的楽かもしれませんが。/ルワンダに行ったのは内戦の直前だったのかあ。ギリギリだなあ。
読了日:02月05日 著者:畑 正憲
贋作『坊っちゃん』殺人事件贋作『坊っちゃん』殺人事件
『坊ちゃん』は子供向けの版が家にあり、繰り返し読んでいたのですが、あれをこういう話にするのか……。坊ちゃんが島を出たあの日、赤シャツが首を吊っていた、という人を喰ったような開幕から始まり、特に政治が深く関わるようになってからが本家『坊ちゃん』との乖離とともに贋作としての面白さが出てくるようになったと思います。ラスト直前のあれは、カタストロフだったのだろうか……。よくわからないです。
読了日:02月04日 著者:柳 広司
3・15卒業闘争3・15卒業闘争
性と暴力と矛盾に満ちた学園小説。こんなある意味では無茶苦茶な設定でも、暗黒と付いていても、主人公がアラサーでも、なんだかんだで青春小説であります。とにかく悪い夢のなかをもがいていくような筆致が印象的です。この小説には気持の良いラストも、すべての謎が解明される瞬間もありませんが、よろしいでしょうか? ぼくにとっては大変心にのこる小説でした。
読了日:02月03日 著者:平山 瑞穂
ねらわれた学園 (講談社 青い鳥文庫fシリーズ)ねらわれた学園 (講談社 青い鳥文庫fシリーズ)
1973年に刊行され、2003年に再刊された、規律と秩序を重んじる生徒会と自由を第一に考える二年三組の闘いを描いたジュブナイルSF。/まえがきにもあるように、絶対的に正しいことなどないし、正しいと思われることもやり方によっては間違った結果をもたらすこともある、ということなのかな。それに純愛も絡んだりするので物事はややこしいですね。/しかし、クラスが二年九組、クラスの人数が45人ってちょっと多くないだろうか。73年当時の進学校はそんなものだったのかしら。
読了日:02月02日 著者:眉村 卓
海辺のカフカ (下) (新潮文庫)海辺のカフカ (下) (新潮文庫)
うーん、メタフォリカル。なんだかいろんなものに決着がついたようなついていないような。でも、続くことは絶対に無いと思える、そんな物語でした。多くの謎をメタファーに投げるのは是か非か? 難しいですね。/相変わらず内容をすっかり忘れてましたが、カーネル・サンダーズのことはけっこう憶えていました。キャラが濃いから……。
読了日:02月01日 著者:村上 春樹

2012年2月の読書メーターまとめ詳細
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