hirayama46の日記

とりとめもなく書いています。

{tekitou]8月の読書メーター

 8月に読んだ本は29冊でした。ぼくにしては多い方ですね。いいことです。
 8月の読書メーター
読んだ本の数:29冊
読んだページ数:8615ページ
ナイス数:117ナイス

今夜、すべてのバーで今夜、すべてのバーで
ぼくは中島らもの経歴については詳しくないのですが、かなり自伝的な内容といってもよさそうな感じ。アル中の闘病もので、闘病ものはわりと苦手なのですが、これはわりとすらすら読めました。全体的にドライな筆致だからかな。/終盤(病院だから珍しくないとはいえ)某キャラクターの死を描いた場面はかなり心に響くものがありました。/しかし。中島らも本人がこの経験をしたあと、まだアル中で再入院してしまったと聞いて、人生の皮肉さとアル中の完全治療の難しさについて考えこんでしまいました。
読了日:08月31日 著者:中島 らも
中国行きのスロウ・ボート (中公文庫)中国行きのスロウ・ボート (中公文庫)
幾度目かの再読。やはり、明らかに浮いてはいるのですが「シドニーのグリーン・ストリート」が好きでなりません。サラミ。/あとは表題作が切なくて好きかな。逆向きの山手線。
読了日:08月30日 著者:村上 春樹
もらい泣きもらい泣き
冲方丁が実際にあった話を元にして泣ける話を再構成したもの。どうしても「泣ける」という縛りがきついので(たぶん、書く方にとっても相当につらかったのだろう)、一気に読むとちょっと胃もたれするのですが、やはりうぶちんは上手いので一気に読んでしまいました。/それにしても売れそうにない装丁だなあ……。
読了日:08月29日 著者:冲方 丁
ANGEL+DIVE〈1〉STARFAKE (一迅社文庫)ANGEL+DIVE〈1〉STARFAKE (一迅社文庫)
十文字青は2冊目ですが、やっぱりメメント・モリな要素はあるのですね……。そういう作家性なのかな。/キャラクターは俺様系ツンデレさんの依慧さんもいいけど、主人公や希有といったよくわからない系キャラのほうがらしくて良いかな。/バトルには多少の置いてけぼり感もあったけど、それも十文字青らしさといえばそれまでかもしれませんね。/エピローグだと思って読んでいたら次巻のプロローグだった……。/いまのところ伊玖さんがなんなのかさっぱりわかりませんが、これか絡んでくるのだろうか……。
読了日:08月28日 著者:十文字 青
遠まわりする雛 (角川文庫)遠まわりする雛 (角川文庫)
アニメ版に備えて再読ー。すでに一部はアニメになってますが。/タイトルの『遠まわりする雛』というのは実にぴったりで、古典部の人たちはみんな近道というものが苦手な人ばかりだなあ、と思います。/あとがきはたしか単行本にはなかったと思うので初読ですが、『折れた竜骨』といっしょで海外ミステリの紹介も兼ねております。それだけ読まれていないのかもしれませんね。
読了日:08月27日 著者:米澤 穂信
ぴんぞろぴんぞろ
はじめての戌井昭人。人生裏街道。人は意外とあっけなく死ぬ。物語は意外とあっけなく終わる。/なんとなく、ぼくはあまり生きていない7、80年代の空気を感じたのだけれども、たぶん具体的に何年とは決められていない、ノスタルジアの世界なんだろうな、と思いました。/あと、この方も演劇畑出身なんですね。なるほど。
読了日:08月26日 著者:戌井 昭人
雷神帖―エッセー集成2 (エッセー集成 2)雷神帖―エッセー集成2 (エッセー集成 2)
池澤夏樹のエッセイ集、2巻セットの2冊目。1冊目の『風神帖』よりも書評などが多く、ちょっと理解するのが難しい気がしたけど、これは1冊目もそうだったかもしれません。やはり文章は素敵なのですが、自分の読解力のなさが哀しく響いてきます。しくしく。
読了日:08月25日 著者:池澤 夏樹
シンセミア〈4〉 (朝日文庫)シンセミア〈4〉 (朝日文庫)
これにて4冊完走。密度が濃いこともあって「読んだなあ」という気分にさせられます。/カバーに「大団円に向け疾走する」書いてあったけど、「大団円」って平和にめでたく物語が終わるという意味だったような……。めでたくはないですね。疾走はしていたけれど。/解説は二人とも外国の方だけどなにか狙いがあるのかな。世界標準の小説というアピール? 感嘆符の多さは登場人物の気の短さ(短慮さ)も示してますよね。/しかし、不思議なラストであった。煙に巻かれた、という表現がぴったりかも。へんてこだなあ。
読了日:08月24日 著者:阿部 和重
シンセミア〈3〉 (朝日文庫)シンセミア〈3〉 (朝日文庫)
洪水が起きて床上浸水、住民避難、過去の殺人も露呈、とたいへんなことになっておりますが、地の文は相変わらず淡々と、どこか突き放しているかのように語られます。この起こっている事象と語りの隔たりが興味深いですね。とりあえず、続きを読みましょう。
読了日:08月23日 著者:阿部 和重
ノックの音が (新潮文庫)ノックの音が (新潮文庫)
全編が「ノックの音がした。」で始まる技巧的なショート・ショート集。どの短編も十分にひねりが利いていて面白かったです。/ミステリっぽいネタが多いのは、あとがきによると「SFがさかんでなく」とのこと。ふうむ。そういう時代かあ。
読了日:08月22日 著者:星 新一
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)
何度目だかわからないけど再読。数ヶ月かけてのんびり再読しました。村上春樹の長編の中でも特に好きな1冊(文庫では2冊ですが)なので何度読んでも面白いのです。村上作品でも特に娯楽性に秀でたひと品だと思います。
読了日:08月22日 著者:村上 春樹
鳴風荘事件 殺人方程式II (講談社文庫)鳴風荘事件 殺人方程式II (講談社文庫)
シリーズ2作目。舞台が89年ってずいぶん古いな、と思ったけどこのシリーズの1作目が書かれたのが89年だったのか……。ふうむ、唸ってしまいますな。/内容はサプライズよりもロジック重視のつくり。まったく推理せずに読者への挑戦もスルーするぼくですが、いちおう大体のトリックの検討はついたので、それほど難しくはないはず。そのトリックを使う必然性になるほど、と思いました。
読了日:08月21日 著者:綾辻 行人
あの日、君と Girls (あの日、君と)あの日、君と Girls (あの日、君と)
シリーズのなかではやや小粒感が強かったかなあ。もうちょっと足りない感じというか……。/荻原浩はシリアスなことを軽妙にやっていてわりと好き。タイトルは「晴れの日はいつもレイン」みたい(雨の日じゃないのがミソです)。中島京子はなんだか惜しい気がするので、長編を読んでみたいです。本多孝好は『MOMENT』の外伝でちょっと意外な話。道尾秀介のミステリ離れについて思いを馳せつつ。村山由佳は変わらないなあ……。
読了日:08月20日 著者:
シンセミア〈2〉 (朝日文庫)シンセミア〈2〉 (朝日文庫)
相変わらず精密。ながらも「主な登場人物」だけで60人くらいいるという事実がぼくという読者を置いて行ってしまうようで、切ないです。それでもフォントサイズの遊びや、一見逸脱したような展開が面白くて読んでいて楽しいこともしばしば。複雑な気持ちですね。/3、4巻はちょっと間を空けてから読もうかな。あまりどっぷりと浸かるのも身体に悪そう(ひどい)ですからね。
読了日:08月18日 著者:阿部 和重
シンセミア〈1〉 (朝日文庫)シンセミア〈1〉 (朝日文庫)
これはなかなかしんどいですね……。キャラクターの名前を憶えられないのに、構成はかなり緊密なようで、読者にかなりの集中を強いる本だなあ、と思いました。ぼくはキャラを追うのが精一杯で、なかなかこの精密さまでは楽しめそうにないです……。4冊読みきれるだろうか。
読了日:08月17日 著者:阿部 和重
友達・棒になった男 (新潮文庫)友達・棒になった男 (新潮文庫)
3作を収録した戯曲集。戯曲というものを読むのは慣れないのですが、なかなか読みやすくて楽しく読むことができました。/「友達」は短編小説「闖入者」の戯曲版かな。相変わらず人の底知れない悪意は怖いですね。3本立ての「棒になった男」はボクサーの一人称で淡々と進む話がお気に入り。すっきりしないところが良いです。「榎本武揚」は実際の榎本武揚をよく知らなかった(歴史については本当に無知なのです……)のですが、面白かったです。猿のくだりがいかにも安部公房らしいところでしょうか。
読了日:08月17日 著者:安部 公房
侵略する少女と嘘の庭 (MF文庫J)侵略する少女と嘘の庭 (MF文庫J)
このシリーズ、再読したばかりなのにもう前2作の内容をけっこう忘れております……。おそらくいい意味で地に足がついていない幻想的な物語だからだと思われます。さて、その中で3作目のこの本がいままでいちばんリアリズムというか、実際にあってもおかしくないような話になっているように思えます。りあちゃんも実在してもおかしくないキャラづくりな気がしますし。/4人の友人たちのつながり方に清水マリコの友人観が見られる気がします。4人1組のかたまりにはこだわらないというか。
読了日:08月15日 著者:清水 マリコ
ヴァンパイアノイズム (一迅社文庫 し 1-7)ヴァンパイアノイズム (一迅社文庫 し 1-7)
はじめての十文字青。これはなかなか面白かったです。十文字青の別の作品も読みたくなりました。ぼくが10代だったらもっと心に刺さっていたかもしれません。/萩生さんはもっと壊れるかと思ったけど、そうでもなかったですね。詩歌ちゃんは挿絵がけいおん!の律っちゃんに少し似ているのが残酷。というかこの小説は全体的に(モノクロもカラーも)挿絵と内容が関係ないことが多いですね。エロいからいいですけど……。
読了日:08月14日 著者:十文字 青
プリズム (創元推理文庫)プリズム (創元推理文庫)
貫井徳郎の長編を読むのははじめてかな? 毒入りチョコレート事件リスペクト、ということでもっと歪でへんてこなものになるのかな、と思ったら意外と物語的にはすっきりしていて驚きました。読み終わって想起したのは『ブギーポップは笑わない』だったのですが、そんなのはぼくひとりだけでしょうか(さすがに800件の感想全部は読めないので……)。理由はネタバレになるので書けないのですが……。
読了日:08月13日 著者:貫井 徳郎
とらドラ! (6) (電撃文庫 た 20-9)とらドラ! (6) (電撃文庫 た 20-9)
北村くんがグレたり、生徒会云々で色々あったり。この痛々しくもキラキラとした青春はぼくのどこにあったろうか。いくら思い起こしても出てこない。/しかし、どうも亜美ちゃんの発言の「正論」っぷりが強調されすぎているかなあ、とは思います。個人的に、表現次第で正論も意味が無くなると思っている人間なので……。/あと、実は前巻のカラー挿絵から香椎奈々子さんのことが気になって……(出番はないに等しいですけど)。
読了日:08月12日 著者:竹宮 ゆゆこ
戦車のような彼女たち Like Toy Soldiers戦車のような彼女たち Like Toy Soldiers
ファウスト」「メフィスト」に収録されていた短編が中心の連作短編集ですが、実質的には長編になっているので、こうしてまとめて読めてよかったです。内容はブギーポップ霧間凪も出てこないけど、オールドファンなら喜ぶ彼や彼女もたくさん登場しておりました。/舞惟ちゃん……。
読了日:08月11日 著者:上遠野 浩平
とらドラ! (5) (電撃文庫 た 20-8)とらドラ! (5) (電撃文庫 た 20-8)
みんなで楽しく文化祭編。アニメ版を観たはずなのに展開を何も憶えてない悲劇(ぼくの脳が)。それはともかく、竜児くんは大人の都合に振り回されながらもよくやったと思いますです。ぼくには竜児くんを責められない……。/アニメ版だといまいちわからなかった亜美ちゃんが小説版だとわかりやすい感じ。なんというか、こう、こころの隙間の共有感みたいなものが(ぼくとではなく、竜児くんとですよ)。
読了日:08月10日 著者:竹宮 ゆゆこ
泣き虫弱虫諸葛孔明 第参部泣き虫弱虫諸葛孔明 第参部
2004年に1巻が発売された本シリーズもようやく3作目。今巻は赤壁をメインに呉(ごと素直に読んでいいのか不明)のヤクザたちの話芸も光っておりました。面白さは折り紙付きなので、第4部なで気長に待ってます。待ってます……よ?/しかし、三国志関連の作品で某マンガが出てくるとは思わなかったです。酒見賢一、好きなのかな……。
読了日:08月08日 著者:酒見 賢一
博物誌 (1954年) (新潮文庫)博物誌 (1954年) (新潮文庫)
初めてのルナール。ルナールさんの日常のスケッチのような、動物たちを観測する(あまり触れ合っているという感じでもないかな)短文集。「蛇」「蜥蜴」あたりの特に短いものが個人的に琴線に触れました。対象との距離感に作者らしさがでている感じ。/しかし、特になにも書いてないけれど挿絵のボナールさんは有名だけど、特に血縁関係とかはないのですよね。名前が似てるから兄弟かなにかかと……。
読了日:08月07日 著者:ルナール
パラダイス・ロストパラダイス・ロスト
相変わらずの高値安定で面白いですー。どの短編も過不足がない、という感じがします。そろそろ日本の情勢も物騒になってくるころですが、この小説は一体どうなっていくのか、気になります。D機関があると戦争に勝ってしまいそうですらあります。あるいは計算して負けたか。/お気に入りはリゾートホテルので殺人を描いた「失楽園」かな。たいへんスマートな佳品でありました。
読了日:08月06日 著者:柳 広司
短篇五芒星短篇五芒星
最近の舞城からはわりと離れがちだったのですが、やはりこの本も悪くはないのですが、熱みたいなものはあまり伝わってこないかなあ、と。ただ、五芒星というからにはそれぞれに響き渡るものがあるはずで、それが感じ取れない時点で読者失格なのかもしれません。/各編ごとにフォントを変えるくらいならともかく、括弧とか感嘆符までフォントを変えるというのはいささか神経症めいて感じてしまいます……。効果はあがっているのだろうか。
読了日:08月05日 著者:舞城 王太郎
餓鬼道巡行餓鬼道巡行
町田家のキッチンがリフォーム中につき使えない、どうしよう、外食しよう! というエッセイ。相変わらず日常を描いたエッセイとしては出色なのですが、少々書き飛ばしている雰囲気もなきにしもあらずかなあ。終盤の食べ物の詩はなかなか興味深かったです。こういう詩で歌ったりするのかな……。
読了日:08月04日 著者:町田 康
猫ノ眼時計 (幽明志怪)猫ノ眼時計 (幽明志怪)
猿渡シリーズの完結巻。寂しいですね。相変わらずの上品なユーモア、くらくらする幻惑性は健在で、いつもながら文章は流麗で、良い本を読んだなあ、としみじみ思わされます。/今作はいままでに比べてややユーモラスな面が強かったように感じたのですが、どうだったかなあ。既刊を再読しようかしら……。/どれも良いですが、特にお気に入りはラスト一文が殊に良い「玉響」かな。
読了日:08月03日 著者:津原 泰水
サラダ好きのライオン 村上ラヂオ3サラダ好きのライオン 村上ラヂオ3
連載も終わってしまったようなので(なにしろ「アンアン」とは3光年くらい離れたところで生きているもので、まるで知りませんでした)、このシリーズもこれでおしまい。こういう気楽に読めるエッセイを書かせたら村上春樹は「さすがだなあ」というほかない人なので、「アンアン」でも「週刊朝日」でも「ニュートン」でもどこでもいいのでエッセイはどこかで書いてほしいなあ。
読了日:08月02日 著者:村上 春樹

2012年8月の読書メーターまとめ詳細
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