hirayama46の日記

とりとめもなく書いています。

1月の読書メーター

 1月に読んだ本は28冊でした。ぼくにしてはけっこう多めに読みました。再読多めの月でした。
2013年1月の読書メーター
読んだ本の数:28冊
読んだページ数:8337ページ
ナイス数:116ナイス

オラクル・ナイトオラクル・ナイト感想
とても注釈の多い小説で、この辺はニコルソン・ベイカー『中二階』っぽい感じ(あれよりかは脱線という感じはしなくて、本編を重層的に語るための装置なのかな、と想像)。意識しているのかしら。/後半の展開は非常にシビアなものの連続であり、オースター、容赦無いなあ、と思いました。しかし、これでこのラストに持っていくのはなかなかすごい。ネタバレになるので詳しくは書きませんが、これにはオースターの人生観が現れているのかも。
読了日:1月31日 著者:ポール オースター
ぼくらは虚空に夜を視る (徳間デュアル文庫)ぼくらは虚空に夜を視る (徳間デュアル文庫)感想
久しぶりの再読ー。上遠野浩平による青春SF(という言葉があるかは知りませんが、そうとしか言い様がない気がしたので)。「何か得体が知れない、よくわからない巨大な敵と闘ってどうにかこうにか抗う」という普遍的なテーマをSFのかたちで描いたものなのかな、という気はします。いかにも上遠野浩平作品っぽい主人公造形が素敵です。
読了日:1月30日 著者:上遠野 浩平
春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)感想
久方ぶりの再読ー。若さ故の苦さと酸っぱさが同居していて、いちごタルトのように甘くはいきません。特にラストの「狐狼の心」と「For your eyes only」はかなり痛さが表に出ていて痛心地良い感じです。甘いココアには毒が入っている危険があるので、気をつけましょう。
読了日:1月30日 著者:米澤 穂信
沈黙ピラミッド―ブギーポップ・クエスチョン (電撃文庫)沈黙ピラミッド―ブギーポップ・クエスチョン (電撃文庫)感想
すっかり記憶を失っていたのでさっぱりとした気持ちで再読ー。やはり読み返してもちょっとごちゃついていて印象に残りにくいかなあ、とは思いました。メロー・イエローはかわいいですが。チームの4人がもうちょっと印象に残るように書かれていたならなあ。/裏表紙のやきそばを食べているメロー・イエローのイラストは良いですね。本文でもやきそばはかどちんらしい良いエピソードだったと思います。
読了日:1月29日 著者:上遠野 浩平
ノルウェイの森 下 (講談社文庫)ノルウェイの森 下 (講談社文庫)感想
下巻に入って上巻からあった死の空気が更に濃くなってきます。某キャラクターのあまりにもあっけない死には動揺してしまいますね。突然の死のあまりの簡単さ。虚しいものです。/しかしラスト間際の場面「大丈夫ですよ。安心して」から「すみません。我慢できなかったんです」の間がたったの4行というのもなかなかすごい。まったくワタナベくんは……。
読了日:1月28日 著者:村上 春樹
ノルウェイの森 上 (講談社文庫)ノルウェイの森 上 (講談社文庫)感想
10年ぶりくらいの再読。やはり村上春樹の長編の中でいちばんモヤッとするレベルが高いような……。素敵な部分も多いのですけどね。しかし、メンヘル濃度が高い小説ではあるなあ。突撃隊は癒し。同居はしたくないですけど。
読了日:1月27日 著者:村上 春樹
とらドラ!〈8〉 (電撃文庫)とらドラ!〈8〉 (電撃文庫)感想
修学旅行編。いよいよみんなの気持ちが剥き出しになって、すっかりライトではない風情になって参りました。アニメ版を見た時にも思ったのですが、大河とみのりんはわかるけど、亜美ちゃんの考えていることってよくわからないのですよね。高いところから見下しているように思えば殴り合いまでしたり。それがわかれば乙女心の複雑さに迫れる……そんな気がします。
読了日:1月26日 著者:竹宮 ゆゆこ
とらドラ!〈7〉 (電撃文庫)とらドラ!〈7〉 (電撃文庫)感想
クリスマスの巻。大河ちゃんが自分の気持ちに気づき、物語的に佳境といった様相を呈しております。当然5人の関係も今まで通りにはいられず、壊れたツリーは元には戻らないのです。しかし、何かを得るには何かを失わければいけない……かもしれません。彼らはこれから何を得て、何を失うのでしょうか(アニメ版を観ていたのにあまり憶えていない小生である)。/ゆりちゃん周りの部分は地の文も妙にノリノリで書いていて、もうちょっと普通に書いてもいいのでは……と少し思いました。
読了日:1月25日 著者:竹宮 ゆゆこ
犯罪ホロスコープII 三人の女神の問題 (カッパ・ノベルス)犯罪ホロスコープII 三人の女神の問題 (カッパ・ノベルス)感想
もうすでに書いておられる方がいらっしゃいますが、あとがきによると前半が「直球」で後半が「変化球」だそうで、ロジック、ロジック! な前半も良かったですが、やはり適度に「変なもの」を求める向きがあるぼくは後半の方が楽しめました。ちょっと奇妙なダイイング・メッセージものである「錯乱のシランクス」が特に好きです。
読了日:1月24日 著者:法月 綸太郎
ホーリィ&ゴースト―ブギーポップ・アンバランス (電撃文庫)ホーリィ&ゴースト―ブギーポップ・アンバランス (電撃文庫)感想
再読ー。これはけっこう内容を憶えていました。ブギーポップ的に王道な巻き込まれもので楽しいです。スリム・シェイプに関してわりとあっさり書いていたあたりが良かった気がします。しかし、重要な部分でジョジョネタを使うかどちんは本当にジョジョ好きなのだな……。
読了日:1月23日 著者:上遠野 浩平
SHINO ―シノ― 黒き魂の少女 (富士見ミステリー文庫)SHINO ―シノ― 黒き魂の少女 (富士見ミステリー文庫)感想
人間の心の闇に焦点を当てた一冊。(作者の年齢は知らないのですが)全体的に若書きっぽいところが良いと思いました。読点でガンガン改行するあたりの呼吸とかがフレッシュだなあ、と。/いまのところまだ志乃ちゃんのかわいさはこれからという感じですが、先に期待できそうなキャラクターだとなんとなく思いました。
読了日:1月22日 著者:上月 雨音
ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)感想
再読ー。内容を結構忘れていたので新鮮な気分で読めました。こんなに切ない小説だったかな……とか思いました。/向上心のある少年少女は輝いているなあ……。/おっぱい。
読了日:1月21日 著者:森見 登美彦
谷崎潤一郎犯罪小説集 (集英社文庫)谷崎潤一郎犯罪小説集 (集英社文庫)感想
はじめての谷崎潤一郎。ぼくは何を読んでいままで生きてきたのか。それはともかく、谷崎潤一郎といえば変態小説、というイメージがあったのですが、わりと当たっていたようで、変態プラスミステリという実に好みの一冊でありました。ミステリ的にいえば「途上」が良かったですが、「私」のいかんともしがたさも素敵でした。書かれた時期がわからないのでどれだけ先鋭的であったかはわかりませんが、現代のミステリ読みが読んでも楽しめる一冊だと思いました。
読了日:1月20日 著者:谷崎 潤一郎
残穢残穢感想
マンションで起こった怪異から、ひたすらたぐってたぐってたぐってたぐって……。伝染する穢れがどこに行き着くのか、読んでいる間は予想できませんでした。ずいぶん、遠いところにきてしまったなあ、という感興。良くも悪くも(実際の文章の量よりも)長かったなあ、とも思いました。/怪談に詳しいちょい役として平山夢明福澤徹三が出てくるのでファンは要チェック……かな。
読了日:1月19日 著者:小野 不由美
深追い深追い感想
短篇集。そうか、「深追い」が書かれた1999年ごろはまだポケベルが現役だったのか……。なんだかそんなに古くない本なのに時代を感じます。「携帯電話の陰に霞み」とは書かれていますが。/お気に入りは空き巣の特殊な手口に関するあたりが上手い「引き継ぎ」、ホームレスの死と息子のお受験やらなにやらとで板挟みになる「仕返し」あたりかな。
読了日:1月18日 著者:横山 秀夫
妖人奇人館 (河出文庫)妖人奇人館 (河出文庫)感想
澁澤龍彦を読むのははじめてかな。このエッセイは本人も書いているように、中間小説誌に連載されただけあって、軽めで読みやすくなっております。今となってはすっかり有名になった人も多いですが、当時(1970年ごろ)はまだ知られていない人も多かったのでは。ノストラダムスの1999まで30年もあったころの話ですからね。/色んな妖人奇人変人が紹介されていましたが、なぜかいちばん心に残ったのは自分の腕の柔らかそうな部分をナイフで削って食べていた男の話でした。適度な等身大感がある奇人だからかしら。
読了日:1月17日 著者:澁澤 龍彦
ジンクス・ショップへようこそ―ブギーポップ・スタッカート (電撃文庫)ジンクス・ショップへようこそ―ブギーポップ・スタッカート (電撃文庫)感想
再読―。エンブリオくらいまではわりと何度も繰り返し読んでいるのが多いのですが、この辺はあまり読み返してなかったので。統和機構の中枢が描かれる、ストーリー的に重要な巻なのですが、内容をまるで憶えてませんでした……しくしく。/今回は中枢を描くのがメインなので周辺の敵はわりと大したことない人たちが多かったからあまり憶えてなかったのかなあ。/しかし、おじいさんが操られた敵を倒す方法が波紋の呼吸(いや、波紋とは言ってませんが)なのがちょっと面白かったです。脳内でツェペリさんで再生されました。
読了日:1月16日 著者:上遠野 浩平
罪深き誘惑のマンボ (角川文庫)罪深き誘惑のマンボ (角川文庫)感想
再読ー。あれ、表紙が違う……。変更されたとしたらちょっと残念。それしにても、やはりこのシリーズはいいな。こういう重みをわかったうえで繰り広げられる軽口(なにしろ、人種差別主義者が集う場所で黒人が喋り尽くすのだから)は素晴らしいと思います。軽いだけの軽口も嫌いではないのですけどね。あと、やっぱりハップのキャラは大好きです。格好いい。
読了日:1月15日 著者:ジョー・R. ランズデール
Hurtless/hurtful (MF文庫 J し 2-7)Hurtless/hurtful (MF文庫 J し 2-7)感想
タイトルはそれぞれ「無害な/(感情を)傷つける」の意。というわけで、MFの清水マリコ作品の中でもなかなか痛々しい物語になっております。しかし、それでもやっぱり彼女のことは嫌いになれないなあ。傷つけあってしまうとわかってはいても。/イラストはtoi8に比べるとマッチしていない感は否めないけれど、モノクロイラストはなかなか良かったと思います。
読了日:1月14日 著者:清水 マリコ
箱の夫箱の夫感想
うーむ、個人的にはあまりピンと来なかったかな……。色々な感覚、例えば生活感といったものが違いすぎるのかもしれません。ぼくが読み手として老いた女流作家の感覚が受容できなかった、ということなのかな。何年経っても読み巧者にはなれないなあ、ぼくは。もっと色んなものを受け入れたいのだけど、スムーズにいかないもどかしさがあります。
読了日:1月13日 著者:吉田 知子
すらすら読める方丈記 (講談社文庫)すらすら読める方丈記 (講談社文庫)感想
普段はあまり古文に類するものは読まないのですが、本文総ルビに現代語訳を(基本的には)同一ページに掲載、ちょくちょく詳細な解説有りと「すらすら読める」の惹句通りにスムーズに読むことが出来ました。解説の「方丈記は最高だ!」という賛美や「長明さん」表記(知り合いみたいだ)がちょっと引っかかりましたが、総じて満足いく一冊でした。前半の災害を「起こったことをそのまま書く」ようなスタイルが良かったです。
読了日:1月12日 著者:中野 孝次
舞田ひとみ14歳、放課後ときどき探偵 (カッパ・ノベルス)舞田ひとみ14歳、放課後ときどき探偵 (カッパ・ノベルス)感想
最初の方は事件もワンアイデア的な作品が多いように感じられてどうかな……と思っていましたが、後半の「誘拐ポリリズム「母」あたりはかなり良かったです。伏線の張り方が好み。少女の成長小説としては続編ありきな感じでちょっと不完全燃焼だった感が。そういう狙いなのかもしれませんが。しかし、この作品に出てくる女子中学生は現代としてはどのくらいリアルなんでしょうか。ぼくは女子中学生の知り合いはいないので分からないのです。
読了日:1月11日 著者:歌野 晶午
飛行士と東京の雨の森飛行士と東京の雨の森感想
死の匂いが強い短編も多いですし、閉塞感を感じるものも少なくないのですが、この暗いとはいえない、どこか日が暮れた直後の街のような、不思議な安らぎのようなものも感じるのは、ぼくがそういう薄闇を好んでいる所為か、あるいは西崎憲の文章によるものかはわかりませんが、とにかくどこか居心地の悪さと良さが同居したような作品群でありました。
読了日:1月10日 著者:西崎 憲
ANGEL+DIVE〈3〉LOVENDER (一迅社文庫)ANGEL+DIVE〈3〉LOVENDER (一迅社文庫)感想
評判は良いみたいですが個人的にはあまり乗れなかったかな……。前半戦のフックの弱さと後半の「何もカタをつけていない感」が気になりました。第1部完とはいってもこれではなにも終わっていないような……。とりあえず続きも読もうとは思いますが。/あと、本編とは関係ありませんが、あとがきを読むたびに作者のことを嫌いになっていくのはどうにかならないものでしょうか。そういう芸風だといえばそうなんですけどね。
読了日:1月9日 著者:十文字 青
遊戯の終わり (岩波文庫)遊戯の終わり (岩波文庫)感想
なるほどー。(ぼくが勝手にイメージしている)ラテンアメリカ文学と違って土着的なところが薄くて都会的で洗練された感じがしました。洗練され研ぎ澄まされた幻想と恐怖はなかなか得がたいものだと思いました。「夜、あおむけにされて」(タイトルも好み)の悪夢感が特に好みです。「殺虫剤」「遊戯の終わり」における少年少女の繊細な描き方も素敵でした。
読了日:1月7日 著者:コルタサル
解決まではあと6人 (講談社文庫)解決まではあと6人 (講談社文庫)感想
事件そのものはそれほど奇をてらったものではありませんが、この見せ方や演出はいまでも古さを感じさせない、技巧的なものだと思いました。やっぱり岡嶋二人はひねり方が上手いですね。
読了日:1月5日 著者:岡嶋 二人
恥知らずのパープルヘイズ −ジョジョの奇妙な冒険より−恥知らずのパープルヘイズ −ジョジョの奇妙な冒険より−感想
さすがジョジョに最も影響を受けている作家ナンバーワン候補と名高いかどちんだけあって、非常に満足できるスピンオフでした。既存のキャラの使い方といい、エピソードの隙間の埋め方といい、たいへん愛情を感じました。オリジナルキャラのバトルも熱かったです。良かった。
読了日:1月3日 著者:上遠野 浩平,荒木 飛呂彦
おんな牢秘抄  山田風太郎ベストコレクション (角川文庫)おんな牢秘抄 山田風太郎ベストコレクション (角川文庫)感想
年始恒例の山田風太郎読み。普段は忍法帳なのですが、種切れなのでこれを。いちおうは長編という体裁を取っていますが、実際には連鎖式連作短編でしょうか。ミステリとしてはちょっと物足りないかな、という事件もちらほらありますが、やっぱり細かいところの技工の凝らし方はさすが山田風太郎だなあ、と思いました。
読了日:1月2日 著者:山田 風太郎

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