hirayama46の日記

とりとめもなく書いています。

3月の読書メーター

 3月に読んだ本は27冊でした。わりといいペースなので維持したいところですが、コンディション的に若干の暗雲が立ち込めているような気がなきにしもあらずです。どうにか復調したいです。
2013年3月の読書メーター
読んだ本の数:27冊
読んだページ数:8171ページ
ナイス数:100ナイス

RDG レッドデータガール  はじめてのお使い (カドカワ銀のさじシリーズ)RDG レッドデータガール はじめてのお使い (カドカワ銀のさじシリーズ)感想
はじめての荻原規子。アニメ版の予習がてら読んでみました。うーん、個人的にはキャラクターの魅力がありそうでまだ出てこない感じがしてはがゆいというか。野々村とか雪政といったサブキャラの魅力がもっと出せていたらなあ。話的にはまだ導入といったところなので1冊で評価するのはちょっと難しい感じですね。
読了日:3月31日 著者:荻原 規子
SF JACKSF JACK感想
豪華メンバーによる書き下ろしSF短編アンソロジー。書き下ろしアンソロジーの常としてどうしても玉石混淆の感はありますが、総じて作家の魅力は出ていたし面白かったと思います。最近めっきりお目にかかれなかった吉川良太郎の短編が読めたのも嬉しかったです。/お気に入りはとにかく要素を詰め込みまくってすごい密度になっている冲方丁「神星伝」(ニンジャスレイヤーを意識したのかしら、というのは少し気になりました)、非常に詩的な文章が印象的な瀬名秀明「不死の市」(若干わかりにくくはありましたが)あたりかな。
読了日:3月30日 著者:新井 素子,上田 早夕里,冲方 丁,今野 敏,堀 晃,山田 正紀,夢枕 獏,吉川 良太郎,山本 弘,宮部 みゆき,瀬名 秀明,小林 泰三
海をこえた怪談 銀の本 (ポプラポケット文庫 児童文学・上級〜)海をこえた怪談 銀の本 (ポプラポケット文庫 児童文学・上級〜)感想
『金の本』が単独できれいにまとまっていたからどのようにリンクさせるのかな、と思ったら、なるほど、という感じ。金で日本の民話、こっちで外国の民話(というのかな)で対になっているあたりはなかなか気が利いておりますね。こっちの方にもややミステリ的な仕掛けが施してあって、目新しさはありませんがなかなか良いものだったと思います。
読了日:3月28日 著者:緑川聖司
時をこえた怪談 金の本 (ポプラポケット文庫 児童文学・上級〜)時をこえた怪談 金の本 (ポプラポケット文庫 児童文学・上級〜)感想
お寺を舞台にした百物語ということもあってか、民話的な怪談が多かった印象。一作ごとに作風を変えてきているのですなあ。/ぼけっと読んでいた所為もあってか後半の展開はちょっとびっくりしました。それほど意外なことをやっているというわけでもないのですが……。でも予想外でした。
読了日:3月27日 著者:緑川聖司
あなたは虚人と星に舞う (徳間デュアル文庫)あなたは虚人と星に舞う (徳間デュアル文庫)感想
再読ー。ナイトウォッチシリーズ3作目。わりとぐねぐねしていた「わたしと〜」と比べてなんだかすっきりしている印象がありますね。表紙が黒を基調としていた「わたしと〜」と白を基調にしている本書、そういうところでも好対照という感じです。たいへんまっすぐな青春SFで素敵でありました。
読了日:3月26日 著者:上遠野 浩平
不可能不可能感想
おそらくは平岡公威であろう(だけど明言はされない)平岡さんを主人公にした幻想文学で、人生を一度ドロップアウトした人が主人公なのは以前読んだ「あやめ 鰈 ひかがみ」と共通してますね。作者のモチーフとして普遍的に使用しているのかしら(まだ2冊目なのでわかりませんが)。個人的にはちょっと安部公房っぽう不条理な裁判が描かれる7章が好みでした。しかし、なぜミステリっぽくなったのかは謎だなあ……。うーむ、不可能とは。
読了日:3月25日 著者:松浦 寿輝
星界の紋章〈1〉帝国の王女 (ハヤカワ文庫JA)星界の紋章〈1〉帝国の王女 (ハヤカワ文庫JA)感想
はじめての森岡浩之。思っていたよりも途中だったので感想が書きにくいですが、設定は非常に作りこまれていると感じますし、面白くなりそうな予兆はありますね。/ファーストガンダムの呪いを感じなくもなかったですが、むしろ呪われているのはぼくのほうなのかもしれません。ぽて。
読了日:3月23日 著者:森岡 浩之
ガリレオの苦悩ガリレオの苦悩感想
ガリレオの苦悩とはいいつつも、あまり苦悩していなかったような気もなきにしもあらず。事件自体は『予知夢』に引き続き不可能趣味は薄めで、「はあ、なるほど」で済んでしまうことが多かったかな。読み心地は東野圭吾らしくわりとウェットな感じで、特にその色が濃い「操縦る(あやつる)」が面白かったです。
読了日:3月22日 著者:東野 圭吾
虫樹音楽集虫樹音楽集感想
これはなかなかひねくれているというか、一筋縄ではいかない小説でした。淡々とジャズ奏者について語ったかと思えばなぜかSFっぽいガジェットが出てきたり。そしてどこまでが現実かの認識のパースペクティブの狂わせ方はいかにも奥泉光。かなり晦渋ですが楽しめました。
読了日:3月21日 著者:奥泉 光
猫めしの丸かじり (文春文庫)猫めしの丸かじり (文春文庫)感想
いつもの感じであり、たいへん安定しております。くず餅の食感に「ブナブナ」という言葉を用いるあたり、さすがプロフェッショナルだなあ、と感じ入りました。
読了日:3月20日 著者:東海林 さだお
ストレンジボイス (ガガガ文庫)ストレンジボイス (ガガガ文庫)感想
はじめての江波光則。なるほど、これはたしかに一時期のファウスト系の感じですね。それと『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』を合成した感じかしら。星海社に行ったのは自然な流れだなあ、と思いました。いまの佐藤友哉とかが失った、青春時代の切実な痛みを生きたものとして書ける人だと思うので、これからも青少年に暗い世界を見せ続けてほしいです。
読了日:3月20日 著者:江波 光則
サムライ・レンズマン (徳間デュアル文庫)サムライ・レンズマン (徳間デュアル文庫)感想
レンズマン・シリーズは未読ですが楽しかったです。やっぱり格好いい小説を書かせたら古橋秀之は当代一ではないかしら。全然好感が持てない敵キャラにも格好良さがあるのが素敵です。/久しぶりに宇宙もののSFを読んで、宇宙船とかがどういう風に動いているのかとかがどうしても上手くビジュアル的に連想できないぼくはSFに向いていないのかしら……と思いました。何事も訓練ですね。
読了日:3月19日 著者:古橋 秀之
リカーシブルリカーシブル感想
うーむ、なんだか判断に困ってしまいますね……。印象論なんですが、なんだか焦点がはっきりしないというか、読者の方が能動的に焦点を合わさないようにしないと楽しみにくい作品だったような。他の米澤穂信作品と違わずよく練られていますし、完成度は高いと思うのですが……。
読了日:3月18日 著者:米澤 穂信
煙突の上にハイヒール煙突の上にハイヒール感想
掲載雑誌が小説宝石ということもあってか、ライトなSF短篇集。ミステリ要素の強い短編なんかもあって、小川一水、器用だなあ、と思いました。お気に入りは新種の流行病で変質してしまった社会と人々の再生を描く「白鳥熱の朝に」。/『第六大陸』を読んだ時にも思いましたが、小川一水はかわいい少女を書くの上手いですよね。唯ちゃんは蓮っ葉かわいい。/中村佑介は嫌いじゃないけど、表紙は微妙かな……。航空力学に詳しくないのですが、プロペラが地面と垂直になっているのも違和感が。ヘリコプターみたいに水平にしないと上昇できないのでは。
読了日:3月17日 著者:小川 一水
木曜日を左に曲がる木曜日を左に曲がる感想
片岡義男の小説を読むのははじめてかな。全体的に現代的とは言えないかもしれないけれど、(なにしろ片岡義男は1940年生まれで、この本の出版は2011年ですし)洒脱な感じで良かったです。小説や写真をモチーフにした短編が多いのはあとがきにもあるようにある種の間接性を持たせるためでしょうか。
読了日:3月16日 著者:片岡 義男
駅と、その町 (双葉文庫)駅と、その町 (双葉文庫)感想
立身という架空の町を舞台にした連作短編集。スーパーナチュラルな要素も散りばめた奇妙な味系の短編かな。ひとつひとつの短編は比較的薄味なのですが、連作として通して読むとわりに重いテーマ性がずんと浮かび上がってくるあたり、やはり眉村卓は上手いなあ、と思いました。
読了日:3月15日 著者:眉村 卓
Self‐Reference ENGINE (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)Self‐Reference ENGINE (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)感想
円城塔の読み残し。文庫版には加筆があったのか、そうか……。/巨大知性体を軸にした奇想短篇集といった趣で、大体の円城塔がそうであるようによくわからないところが多いけれども無性に楽しい、といいう絶妙のバランスであります。お気に入りは床下からフロイトがどんどん出てくる「Freud」、なぜか知性体が江戸喜劇を演じるちょっとバカミスチックな「Yedo」あたり。ビジュアル的にわかりやすい話が好みなのかも。
読了日:3月13日 著者:円城 塔
ANGEL+DIVE CODEX 1 (一迅社文庫 し 1-4)ANGEL+DIVE CODEX 1 (一迅社文庫 し 1-4)感想
短いような長いような、そんな第一部が終わって第二部突入。キャラも総入れ替えでこれからどうなる……。といった感じ。エピローグはたしかに少し気になったけど、本格的に絡む前にシリーズが中絶しているのではないだろうか、との疑念は隠しきれません。あとがきでは完走を目指すとは書いているけれど……。
読了日:3月12日 著者:十文字 青
わたしは虚夢を月に聴く (徳間デュアル文庫)わたしは虚夢を月に聴く (徳間デュアル文庫)感想
再読ー。ナイト・ウォッチシリーズ2作目にして実質的な主役はイマジネーターかな? これを読むとVSイマジネーターが再読したくなりますね。/せっかくだから「The Dark Side Of The Moon」を聴きながら読めばよかったと後から思いました。/個人的にはシリーズ3作でこの題名がいちばん好きです。虚無とか月とかが好きだからかもしれない……。
読了日:3月11日 著者:上遠野 浩平
Baby Princess〈4〉 (電撃文庫)Baby Princess〈4〉 (電撃文庫)感想
前巻から続いていた体育祭の話がおしまい。やはり氷柱押しなのか……。そして立夏のチアは良い……。/最期の麗のスク水話で次巻への引きを作りましたが、体育祭の話でこの巻は終わらせて次巻の頭に持ってきたほうが構図としてはきれいだったと思うのです。しかし、シリーズものとしては適度な引きを用意するのももちろん重要なわけで、どうなのでしょうか……。難しいところです。
読了日:3月10日 著者:公野 櫻子
日本沈没 下 (小学館文庫 こ 11-2)日本沈没 下 (小学館文庫 こ 11-2)感想
タイトルとおり、日本沈没という大変な事態になるのですが、実際に描かれるのは外交をメインにしたやや地味な展開で、劇的な物事は劇的には訪れない、ということなのかな、と思いました。全体的にかなり「渋い」小説だと感じたのですが、これがメガヒットしたというのもなかなかすごいことです。/ラストにはちょっとびっくりしました。いや、第二部を谷甲州と合作したというのは知識としてはあったのですが。
読了日:3月9日 著者:小松 左京
日本沈没 上 (小学館文庫 こ 11-1)日本沈没 上 (小学館文庫 こ 11-1)感想
初読みー。いささか序盤がスロースターターだった感もありますが、後半に差し掛かってからはなかなか楽しく読めました。ただ、やはりこの巻の読ませどころは田所博士による「日本はなぜ沈没するか」の長広舌にあると思うのですが、それの結論に近い部分で「直観とイマジネーション」という言葉を出してしまうのは、姿勢としては真摯なのでしょうが、やはり多少説得力には欠けるところが出てしまったかな、とも考えてしまいました。
読了日:3月8日 著者:小松 左京
絢爛たる屍 (文春文庫)絢爛たる屍 (文春文庫)感想
これはひどい(喜色満面)。登場人物のほとんどがゲイか殺人鬼、あるいは両方というなかなかに偏った小説であります。ちなみに女性キャラなどいません(断言)。グログロなんですが、どこか透徹した美的感覚なようなものも感じさせて不思議な読み口。たいへん面白かったです。/しかし、エイズの多い小説だ……。男同士のアナルファックってそんなに感染力が強いものなのでしょうか。コンドームの有無とかにもよるのかな。よくわかりませぬ。/解説の「アナル、マイ・ロンリープレイス、悲しいな」はやはり名言というべきでしょう。
読了日:3月7日 著者:ポピー・Z. ブライト
水中眼鏡の女 (集英社文庫)水中眼鏡の女 (集英社文庫)感想
はじめての逢坂剛精神疾患をテーマにしたトリッキーな中編3本。初出がわからないので詳しくはわからないのですが、25年くらい前に書かれたものらしく、現代の観点から見るとややストレートかな、と思いつつもそのくらいの方がサイコの恐怖感みたいなものはでるのかもしれません、そのへんのバランスは難しいところですね。
読了日:3月5日 著者:逢坂 剛
余りの風余りの風感想
やはり堀江敏幸の文芸批評はなかなかに難しい……。まだまだ勉強が足りないなあ、と思った次第であります。いや、普段ほとんど勉強しようと思って本を読むということをしないので一生勉強は足りないままかもしれませんが。それはそれとして、小島信夫古井由吉はちゃんと読んでみたいな、と思いました。
読了日:3月4日 著者:堀江 敏幸
水上音楽堂の冒険 (創元クライム・クラブ)水上音楽堂の冒険 (創元クライム・クラブ)感想
若竹七海の未文庫化作品。相変わらず人間の底知れぬ悪意をずんずん書いておりますが、やはりそれでも若書きっぽさは否めないかなあ。小説全体としてひどく恣意的で歪ですし。事件のトリックやロジックが主眼ではないのはわかりますが、うーむ。/しかし、水上音楽堂はそれほど重要ではないし冒険といった感じでもないのに、なんでこのタイトルなのだろうか。
読了日:3月3日 著者:若竹 七海
ブルックリン・フォリーズブルックリン・フォリーズ感想
タイトルの「フォリーズ」とは「愚行」「愚かさ」という意味だそうで、タイトルとおりこの小説の登場人物は愚かなこともするし、また過ちも犯します。しかし、そういう不完全な人間たちに対する筆致は柔らかであり、著者の人間愛のようなものを感じます。時には人生は残酷なことも起こりますが、それを受け入れていくことが大事なことなのかもしれませんね。
読了日:3月2日 著者:ポール オースター

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