hirayama46の日記

とりとめもなく書いています。

5月の読書メーター

 5月の読了冊数は21冊でした。ぼちぼちですね。月末に読んだ古川日出男が重かったというのもありました。
2013年5月の読書メーター
読んだ本の数:21冊
読んだページ数:6138ページ
ナイス数:84ナイス

南無ロックンロール二十一部経南無ロックンロール二十一部経感想
これはさすがに重量級の大作。それぞれの挿話が何を意味しているのかはよくわからず(「ロックンロール七部作」くらいは再読しておいたほうが良かったかも)、リズムに任せて流れるように読んでしまいました。ちょうどロックンロールを聴いているときに歌詞の意味が分からなくてもいい音楽・いい演奏であることは分かるかのような感じ。面白かったは面白かったですが、読者としてまだ古川日出男の世界についていけていない感覚もありました。今までに古川日出男作品に触れてきた人向けでありましょう。
読了日:5月31日 著者:古川 日出男
高丘親王航海記 (文春文庫)高丘親王航海記 (文春文庫)感想
澁澤龍彦はエッセイは読んでいましたが小説を読むのははじめて。実に面白かったです。過去の回想・夢・現実とは思えないような現実が混然とした独特の幻想的な世界を放浪するかのような文章でした。奇形のものたちの存在には特段ものすごいアイディアがあるわけではありませんが、やはり余人には真似のできないようなものになっているのは文章の力かもしれません。
読了日:5月29日 著者:澁澤 龍彦
土の中の子供 (新潮文庫)土の中の子供 (新潮文庫)感想
中村文則3冊目。幼少期のトラウマとそこからの脱却というテーマ性がストレートに伝わってくるあたりは芥川賞受賞作らしいところなのかな、と思いました。面白かったですが、中編というよりも長めの短編といった感じでちょっと物足りない部分もあった感はあります。その点、密度という意味では併録されている「蜘蛛の声」のほうがギュッとしていたように思えました。
読了日:5月27日 著者:中村 文則
日本SF短篇50 I (日本SF作家クラブ創立50周年記念アンソロジー)日本SF短篇50 I (日本SF作家クラブ創立50周年記念アンソロジー)感想
この時代のSFをあまり読んでいないので(まともに読んでいるのは筒井康隆星新一くらい)、新鮮な気分で楽しむことができました。お気に入りは石原藤夫「ハイウェイ惑星」、シリーズものなので他のも読んでみたいな、と思いました。本格土木SF(?)である荒巻義雄「大いなる正午」も好みでした。
読了日:5月26日 著者:光瀬龍,豊田有恒,石原藤夫,石川喬司,星新一,福島正実,野田昌宏,荒巻義雄,半村良,筒井康隆
古事記の宇宙(コスモス)―神と自然 (中公新書)古事記の宇宙(コスモス)―神と自然 (中公新書)感想
古事記という範囲を絞ったものを題材にしている所為か、いままで読んだ新書に比べるとやや難解だった感がありました。そもそも現代日本においては古事記そのものが書き下し文どころか現代語訳を読んでもピンと来ないことが多いように思えるので仕方ないことなのでしょうが。興味深いことが書かれていたような気はするのですが、いかんせん読解力不足でした。無念なり……。
読了日:5月24日 著者:千田 稔
ノックス・マシンノックス・マシン感想
基本的にはSF短篇集とはいいつつも、やはりそこは法月綸太郎なので本格ミステリへの愛が溢れ出るというかたちになっております。特にSF要素のほとんどない「引き立て役倶楽部の陰謀」は海外ミステリ好きなら十全に楽しめそうですが、ぼくはあまり教養がなく……。/しかし、タイトルこそノックスですが、やはりクイーンラブなのがたいへんのりりんらしくて微笑ましかったです。
読了日:5月22日 著者:法月 綸太郎
悩ましき土地 (講談社文芸文庫)悩ましき土地 (講談社文芸文庫)感想
ぼくはあまり懐古的な人間ではないつもりでいますが、吉行淳之介の小説には昔の空気のようなものを強く匂わせるものがあって、それが実に魅力的に思えます。わりと厭な話も多いのですが、どこか飄々としているあたりも素敵です。クール。
読了日:5月20日 著者:吉行 淳之介
終わりの感覚 (新潮クレスト・ブックス)終わりの感覚 (新潮クレスト・ブックス)感想
はじめてのジュリアン・バーンズ。あるイギリス人の青春時代の回想の物語。記憶をめぐるお話としてはそれほどぐねぐねはしていない、比較的まっすぐなものなので馴染みやすく、後半部分は素直にああ、なるほど、と思えました。/しかし、いわゆるジョンブル的なイギリス老人は老いを楽しむもの、というイメージがありますが、イギリス小説を読んでいると過去に囚われるような生き方をしている人が多いような印象を受けますね。というほど英文学を読んでいるわけではありませんが……。
読了日:5月19日 著者:ジュリアン バーンズ
さよなら、手をつなごう (集英社文庫 な 52-2)さよなら、手をつなごう (集英社文庫 な 52-2)感想
久しぶりの中村航でしたが、なかなか楽しめました。個人的には大人の恋愛よりも中高生の青春を描いたもののほうが好みなのかも。少し薄味かな、という短編もありましたが総じて面白かったです。タイトルこそさよなら、ですがあまり悲しい感じはせず、別れは出会いのはじまり、という雰囲気の話が多かったです。/個人的なお気に入りは再読ですが「さよなら、ミネオ」がやはりよかったです。おまけ的な「ぱぐ ぐぐぐ」はそれでいいのか……と思ってしまいました。
読了日:5月18日 著者:中村 航
風立ちぬ・美しい村 (新潮文庫)風立ちぬ・美しい村 (新潮文庫)感想
はじめての堀辰雄。物語としてはあまりピンとこなかったというか、ぼくが若すぎるか、あるいは心ない人間である所為かこの滋味や行間の感情のようなものを感じ取れなかった、というのはあるのかもしれません。しかし、文章(特に自然の描写)の清冽さは非常に美しいなあ、とは思いました。
読了日:5月17日 著者:堀 辰雄
馬車は走る (文春文庫)馬車は走る (文春文庫)感想
様々な人生を生きる6人を描くノンフィクション。書かれたのは80年代前半が主なのかしら。初出が書かれていないのでちと不明。囲碁の世界を通じて日韓関係(これは当時よりもいまのほうがより深刻になっている感がありますね)も考えさせられる趙治勲の話である「帰郷」。名人になって目標が無くなった、みたいなことが書かれていますが、のち90年代に本因坊10連続防衛という大記録を打ち立てるわけで、世の中はわからないものです。一回都知事選に負けた石原慎太郎も結局は都知事になって色々と悶着を引き起こしましたし。
読了日:5月15日 著者:沢木 耕太郎
幻坂 (幽BOOKS)幻坂 (幽BOOKS)感想
大阪を舞台にした(主に)ジェントル・ゴーストストーリー短篇集。有栖川有栖のセンチメンタリズムはたいへん好きなので楽しく読めました。ただ、歴史物を入れるのはいいのですが、途中まで全部現代もので、最後の2編だけが歴史物になってしまっているのはちょっとした付け足し感のようなものを感じてしまいました。内容自体はいいものなのですが。
読了日:5月14日 著者:有栖川有栖
神は死んだ (エクス・リブリス)神は死んだ (エクス・リブリス)感想
非常に現実的な意味合いで神が死んでしまった世界を描いた連作短編集。ディストピアSFっぽくて面白かったですが、アメリカの文化・宗教観を肌で知っていればもっと楽しめたのかなあ、などと思いました。お気に入りは自暴自棄になってしまった若者を描く、ちょっとアーヴィン・ウェルシュっぽい肌触りの「小春日和」、神は死んだ、ならば何を信仰する? 未来のある子どもだ! という児童崇拝社会を描いた「偽りの偶像」あたりかな。
読了日:5月11日 著者:ロン カリー ジュニア
とらドラ10! (10) (電撃文庫)とらドラ10! (10) (電撃文庫)感想
ついに最終巻ー(まだスピンオフは残っているのですが)。これは大団円、まさしく大団円でありましょう。この世界のすべてを肯定する物語ではないでしょうか。たとえその世界が若い者たちの小さな世界であっても。それでも世界は、世界です。
読了日:5月10日 著者:竹宮 ゆゆこ
とらドラ!〈9〉 (電撃文庫)とらドラ!〈9〉 (電撃文庫)感想
ラスト間近の最後の外堀埋め、といった感じでしょうか。いままで徹頭徹尾ひねくれていた亜美ちゃんはちょっと素直になりすぎではないだろうか。みのりんの気持ちも片がついたようで。愛されるというのは時に残酷なものでありますなあ。そういう悩みを抱いたことがないから実感はできませんが……。そう考えると北村くんとはいったいなんだったのか。
読了日:5月9日 著者:竹宮 ゆゆこ
デュラララ!! (電撃文庫)デュラララ!! (電撃文庫)感想
幾年かぶりの再読。アニメ版を観たので大雑把な展開は知っていましたが、細かいところはかなり胡乱でした。こうして改めて読むと、プロローグ感が強いなあ、と思いました。まあ、いまも続いている長寿シリーズですしね。/チャットシーンはもうちょっと章の合間にこまごまと挟む感じの方がサプライズ的には良かった気がしました。/しかし、ぼくが歳をとった所為か、ほとんど初対面の人に対して「ちょっとずるいところもあるけど、基本的にはいい人」というジャッジを下せてしまう帝人くんはあまり好きになれなかったなあ。
読了日:5月8日 著者:成田 良悟
太陽王と月の王 (河出文庫)太陽王と月の王 (河出文庫)感想
澁澤龍彦による、特に縛りがなさそうな、自由闊達なエッセイ集。こういうのを読むと、やはり澁澤龍彦、博覧強記としかいいようがないなあ……。まさしく知識人といった感じ。架空のサド対談も面白く、サドを読んでみたくなりました(未読なのです)。
読了日:5月7日 著者:澁澤 龍彦
グラン・ギニョール城 (創元推理文庫)グラン・ギニョール城 (創元推理文庫)感想
はじめての森江春策シリーズ。おもいっきり途中からですが。/やっていることは破天荒で面白いと思ったのですが、個々のトリックには正直微妙なものがあった印象。総じて言えば楽しめたのですが、ぐむむ……。
読了日:5月6日 著者:芦辺 拓
マグロは時速160キロで泳ぐ―ふしぎな海の博物誌 (PHP文庫)マグロは時速160キロで泳ぐ―ふしぎな海の博物誌 (PHP文庫)感想
主に魚についての雑学本。海獣や貝類なんかも扱っております。専門的な話はほとんどないので初心者にもとっつきやすい一冊でした。/元が1986年の本なのですが、当時は天然ものがメインだった魚もいまでは養殖が主になっていたりするのかなあ……などと思ったりしました。うなぎもいまは色々と大変ですしね。
読了日:5月5日 著者:中村 幸昭
ねじのかいてん (講談社文庫)ねじのかいてん (講談社文庫)感想
椎名誠の比較的初期のの短篇集。SFというよりも奇想小説のカラーが濃い感じでした。ヘンリー・ジェイムズは未読なのでどれくらい関連があるかはわからず……。/バラエティ豊かでどれを読んでも楽しめますが、相変わらずストンとしたオチがあまりない短編も多いのが椎名誠らしいところかな。/お気に入りは小林泰三の某作を思い出した「パンツをはいたウルトラマン」、単純に着ぐるみが脱げなくなった……ではなくそこからひねってあるのが面白いです。あとは理不尽な状況下が恐怖を誘う「ニワトリ」、奇妙な一人称が魅力的な「月の夜」あたり。
読了日:5月3日 著者:椎名 誠
病の世紀 (角川ホラー文庫)病の世紀 (角川ホラー文庫)感想
グロテスクな状況を描き出すために数々の奇病を考えてそれっぽく装飾するあたり牧野修らしいといいますか、装飾しているあたり親切で牧野修っぽくないのかもしれません。でもやっぱりやりたいことはきっとグロとか拷問とか悪意の表出なんでしょうね……。うむうむ。/「嘘ついたら針千本飲ます」とは他の機会で聞いたらなんということもない言葉ですが、牧野修が書くと嫌な予感しかしない言葉になりますね。流石です。
読了日:5月1日 著者:牧野 修

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