hirayama46の日記

とりとめもなく書いています。

6月の読書メーター

 6月に読んだ本は15冊でした。順調に減少しております。今月はちょっとは増やしたいですが……。
2013年6月の読書メーター
読んだ本の数:15冊
読んだページ数:3998ページ
ナイス数:115ナイス

火葬人 (東欧の想像力)火葬人 (東欧の想像力)感想
主人公のコップフルキングル氏は火葬場という死に非常に近いところにいて、普通の人々とはちょっと死に関する意識の違いというものが見えます。そして近づいてくるナチスドイツの圧力……。明るいところのない、終始暗いトーンの物語で、緩やかな切迫感が印象的でした。モノクロ映画で観てみたい作品ですね。
読了日:6月26日 著者:ラジスラフ・フクス
あの空の下で (集英社文庫)あの空の下で (集英社文庫)感想
あの空はー(関係ない)。ささやかなものごとで変わっていく人生を描いた短編集、というよりも掌編に近いサイズの小説群で、ちょっと食い足りない部分もありましたが、吉田修一っぽさは十分に味わえたと思います。おまけ(?)の旅行エッセイはメイド喫茶に行って「なんだか普通」と思うエピソードが面白かったです。この人は、やっぱり基本的にはアジアに愛着を持っているのかな。
読了日:6月26日 著者:吉田 修一
星をつくった男 阿久悠と、その時代星をつくった男 阿久悠と、その時代感想
重松清による阿久悠の伝記。ピンク・レディーやスター誕生!で時代の最先端を渡り歩いた先見性を持っていた阿久悠が、時が経つにつれ自分から時代 というものを捨てていったのが印象的でした。時代の捨て方にも鋭さを感じ ます。それでも、作詞というフィールドからは離れつつも様々な言葉を紡ぎ 出し続けた、というのは素直にすごいな、と思いました。
読了日:6月26日 著者:重松 清
機械・春は馬車に乗って (新潮文庫)機械・春は馬車に乗って (新潮文庫)感想
横光利一をまとまったかたちで読んだのはこれがはじめてかもです。思ったよりも私小説の色が濃い感じでしたが、注釈が私小説側面を若干強調していたのでは? という疑念も少しは感じましたが、どうなのでしょうか。ちょっと初心者にはわかりかねるところです。梶さんイコール横光利一、と思っていいのでしょうか。/お気に入りはある工場の不穏な人間関係を描いた、ちょっと安部公房っぽい雰囲気の「機械」。
読了日:6月21日 著者:横光 利一
第2図書係補佐 (幻冬舎よしもと文庫)第2図書係補佐 (幻冬舎よしもと文庫)感想
本の紹介部分はあっさりで、本を読ませるための本ではなく、本のある生活について書かれた本、と言ってもいいかもしれません。ぼくも、これからも色々な読書をしつつ生き延びていきたいな、と思った所存であります。
読了日:6月19日 著者:又吉 直樹
sex (講談社文庫)sex (講談社文庫)感想
タイトル通り、セックスをテーマにした短編集。エロゲーみたいな青春ものを期待していたけれど、わりと大人の付き合いが多かった感じでしょうか。しかし、バラエティ豊かで、テーマが限定されているわりにはワンパターンさを感じないのはやはり巧いところです。/文庫版のおまけのセックス相談室は「互いの了解がれば実の姉弟でもセックスしちゃっていいと思う」などなかなかに面白いのですが、この相談って実在するものなのかなあ、と思ってしまうのは穿ちすぎでしょうか。
読了日:6月19日 著者:石田 衣良
うつろ舟―渋澤龍彦コレクション   河出文庫うつろ舟―渋澤龍彦コレクション   河出文庫感想
澁澤龍彦による古典を題材にとった怪奇幻想小説集(怪奇ではないかも)。やはりこういうのを書かせると澁澤龍彦は素晴らしいですね。わりとダイレクトなエロ話もあるけれど、下品にならない筆致が素敵でした。
読了日:6月16日 著者:渋澤 龍彦
ヨハネスブルグの天使たち (Jコレクション)ヨハネスブルグの天使たち (Jコレクション)感想
参考文献の多量さからも察せられますが、SFとはいいながらも地に足の着いた、言うならば社会派SFといった趣。戦争・民族・宗教といった現代の抱える問題と、歌唱ロボットという現在のテクノロジーでは(ちょっとだけ)届いていないものを絡めてより重層的な意識の提示になっております。
読了日:6月14日 著者:宮内 悠介
何もかも憂鬱な夜に何もかも憂鬱な夜に感想
中村文則は4冊目かな。中村文則の小説を読むと、いつも登場人物はそれぞれ色んな生きづらさを抱えていて、それを少しだけど共有できるような気持ちになります。もちろん全面的に共感できるわけではないのですが、そういう断片的なピースがはまるような感覚はなかなかに素敵だと思います。/中村文則の本では読んでいる人が多いな……と思ったらピースの又吉直樹が押していたのかあ。なるほど。
読了日:6月12日 著者:中村 文則
氷感想
はじめてのアンナ・カヴァン。改訳のおかげか、かなり読みやすい印象を受けました。ディレイニー作品のときのようにメタファーを考えながら読むと難しいかもですが、気にしなければけっこうするすると読めました。/少女というのは多感で扱いづらいものである、というのが教訓なのかもしれませんね……。
読了日:6月11日 著者:アンナ・カヴァン
本当のことしかいってない本当のことしかいってない感想
この本が小説について書かれている文章だからなのか、名義がブルボン小林でない所為かはよくわかりませんが、いつものゲームやマンガについて書かれている文章よりも硬さを感じました(初出の雑誌や文庫解説から硬さを求められていたからかもしれませんが)。しかし、やはり色々なものごとに関するシャープな見方は健在で、各所でふむふむ、となりました。/あと、装丁は微妙だなあ、と思いましたが、手に取った方はどう思われたのか、少し気になります。
読了日:6月8日 著者:長嶋 有
いわゆる天使の文化祭 (創元推理文庫)いわゆる天使の文化祭 (創元推理文庫)感想
なるほど、これは巧妙。実にミステリらしいミステリを読んだ快感がありました。面白かったです。/ちょくちょく柳瀬さんがエロゲーっぽいことを言ってぼくを緊張させる……。/そういえば、舞台は千葉県っぽいですが学校名は現実にはないものなのですね。
読了日:6月8日 著者:似鳥 鶏
ことりことり感想
いつ、どこにいたのかも判然としない、「小鳥の小父さん」について語られた小説。『人質の朗読会』もそんな感じだったと思うのですが、この作品もメインとなる登場人物の死から始まって、過去が回想されるという構造になっております。最近の小川洋子にとって"死から始まる"ということはどのような意味をもつのでしょうか。/あと、これも『人質の朗読会』と同じだったと思うのですが、登場人物に名前が一切付けられず、司書や老人といった特性で呼ばれています。人々の多くは無名で生きて無名で死ぬ、ということなのでしょうか。
読了日:6月8日 著者:小川 洋子
碧空(あおぞら)のカノン 航空自衛隊航空中央音楽隊ノート碧空(あおぞら)のカノン 航空自衛隊航空中央音楽隊ノート感想
はじめての福田和代。表紙イラストに惹かれて読みました。主にゲッサンやつぼみで描いている漫画家らしいですね。今度チェックしてみます。さて、内容ですが、自衛隊の音楽隊というわりにマイナーな分野の日常の謎もの人情系ミステリーとして堅実な作品だと感じました。恋愛要素が甘々になりすぎていないさじ加減も良かったです(甘々は甘々で嫌いでは無いのですが)。
読了日:6月5日 著者:福田 和代
もいちど修学旅行をしてみたいと思ったのだもいちど修学旅行をしてみたいと思ったのだ感想
おっさんたちがふたたび修学旅行に挑む、という企画は面白いと思うのですが、日本国内の観光名所がメインになるので、どうしても事件性も少なくあっさりとしてしまいがちだったかな。贅沢だとは思いますが、もうちょっと文章に一芸が欲しい感はありました。あと、一箇所ごとの分量が少ないのは連載の都合かしら。
読了日:6月3日 著者:北尾 トロ

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