hirayama46の日記

とりとめもなく書いています。

瀬名秀明(編)「贈る物語 WONDER」

贈る物語 WONDER

贈る物語 WONDER

 さすが瀬名秀明、わかってる!とか思いました。初心者から上級者までOKなセレクトのアンソロジー。ただ、瀬名秀明のこだわりゆえか「Wonder」をテーマにしているため、他のシリーズ2冊と違いパッと見でどんなアンソロジーか分からないのが欠点と言えば欠点でしょうか。もちろん作品の質は文句の付け所がありません。挿絵や装丁など細かいところまで手が込んでいて良いです。この本を贈られたらぼくはきっと、落ちる。
 
 少々長くなったので全部の作品の感想はパス。特に気に入ったのだけ。
 山川方夫「夏の葬列」実はこれが再読したくて読んだ。中学の教科書で読んだ以来だったのですが、記憶以上に凄い作品。たった10ページ程度の作品ですが、その10倍くらいの濃密さがあります。ジャック・ファニイ「愛の手紙」これはなんとも切ない良い話でした。スニーカー文庫乙一の作品に近いものがある気がしました。式貴士「窓鴉」ぶっとんだ。これは凄い。この短編を読むためだけにこの本を手に取る価値があります。クラクラしました。でもこの人の本は全部絶版なんですよねえ。図書館で借りよう。北野勇作「蟻の行列」短いながらも強い印象を残す好掌編。いとうせいこう「江戸宙灼熱繰言」えどのそらほのおのくりごと、と読みます。題材から文章、くだらない駄洒落が入るところなど田中啓文に近いものがあります。平山夢明「托卵」文章がとにかく美しくおもわず溺れてしまいそう。
 
 うーん、やっぱり長くなった。