村上春樹「東京奇譚集」
- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/09/15
- メディア: 単行本
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「偶然の旅人」村上春樹が実際に体験したかのような形式で書かれている短編。「回転木馬のデッド・ヒート」を想起させる設定ですね。前向きなラストが好み。
「ハナレイ・ベイ」鮫に咬まれて溺れ死んでしまったサーファーの母親の話。主人公のサチさんがナチュラルに暴言を吐くのに笑った。「言っとくけど、あんたのろくでもない母親といっしょにされたきないわね」とか。そんな、会った事も無い人に対して。
「どこであれそれが見つかりそうな場所で」幼女とお話するシーンが見所。オールドファッションは知ってるけど、うさぎホイップとほかほかフルムーンは知らないなあ。実在するのだろうか。少なくとも読んだ人の十分の一位の人は実際にミスタードーナッツに行くはずだ。
「日々移動する腎臓のかたちをした石」このタイトルは大好きだなあ。内容も悪くないです。
「品川猿」これも良いタイトル。最も現実離れした話で、それだけにその部分の比喩的な意味が気になる。そういうの読み解くの苦手なんだけど。うーん、「地下」に住む「猿」がああいう存在だった事が興味深いなあ。そう考えるとこの短編集って全体的に昔よりも前向きだよな、とか思った。