飛浩隆「象られた力」

象られた力 kaleidscape (ハヤカワ文庫 JA)

　気合入ってますね。多分納得がいくまで推敲を繰り返したのだろうなあ……どれも完成度の高い小説で満足感たっぷりです。
　個人的ベストは表題作「象られた力」。
「デュオ」ミステリ風味の音楽SF。ぼくはクラシックにかけては全くの門外漢なのですが、音の持つ迫力、昂りのようなものは感じられました。面白いですね音楽SF。高野史緒くらいしか読んでいませんが。といっても作品の絶対数が少ないだろうけど。他には山之口洋しか知りません。
「呪界のほとり」なんだかライトノベルっぽい。正確にいえば富士見ファンタジア文庫っぽい。とはいっても設定はやはりSFなのですが。口当たりが軽くて読みやすかったです。
「夜と泥の」場面場面の映像が浮かび上がるかのようなヴィジュアルが素晴らしかったです。あとタイトルもすごく好き。
「象られた力」ああ、萌える。キャラクター（妹とか）はもちろんのことですが、世界設定だけで萌えるのですよ。それがこの文章で語られる楽しさといったら。