ウィル・セルフ「元気なぼくらの元気なおもちゃ」

元気なぼくらの元気なおもちゃ (奇想コレクション)

　奇想コレクションー。以前は仮タイトルが「ごっつい野郎のごっつい玩具」だったと記憶していますが、随分イメチェンしたものです。意味的にはこちらの方が正しいのでしょうけど。でも、パワーがあるタイトルだったからちょっと残念。
　
　それはともかく、内容。
　今までの奇想コレクションの中でもっともSF味が薄かったです。とはいっても、もちろん「普通小説」とは到底言えないような珍品が揃っております。奇妙な味わい、変なものを読んでいる、という感覚はシリーズで一番強いかなあ。
　個人的ベストは「ザ・ノンス・プライズ」。訳者あとがきでは「いい話」と書かれているけど、そうかなあ……。前作の短編からの状況の変化のさせかた、審査員の思考から信用ならないラストの一言まで皮肉に満ちていたように思えたけど……。最も、そこが良いのですが。