北國浩二「夏の魔法」

夏の魔法 (ミステリ・フロンティア)

　素晴らしかったです。描写力・文章力が極めて高く、まさしく読んでいる間魔法をかけられている心地でした。そして魔法というのはいつか解けるものです。その後に残った現実に目を向けると……。
（以下ネタバレにつき反転）実は読みながらずっと某歌野さんのあれとか某くるみさんのあれみたいな叙述トリックが仕掛けられていると勝手に思い込んでいました。昔話の「デブでブスな女の子」や船での内海との会話とかですっかり信じ込んでいました。もしかしてぼくは見事に作者の罠にかかりましたか。あるいは作者の魔法に。（ここまで）