hirayama46の日記

とりとめもなく書いています。

冲方丁「マルドゥック・ヴェロシティ」

マルドゥック・ヴェロシティ〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

マルドゥック・ヴェロシティ〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

マルドゥック・ヴェロシティ 2 (ハヤカワ文庫JA)

マルドゥック・ヴェロシティ 2 (ハヤカワ文庫JA)

マルドゥック・ヴェロシティ 3 (ハヤカワ文庫JA)

マルドゥック・ヴェロシティ 3 (ハヤカワ文庫JA)

 刊行予告からどれだけ遅れやがったんだファック、とか思っていましたが、これだけのものをぶつけられるともう文句のつけようがないですね。何かを削りながらの迷走の果てに大傑作となった前作ほどの瞬間風速はありませんが、全体のクオリティでいえば前作を越えているといってもいいかもしれません。あとがきを読んだ限りでは、今作の執筆でも相当消耗されたようです。こういう作品は自らを大きく傷つけながらしか書くことが出来ないのかもしれません。それだけにとんでもなく凄みのある作品だと思います。震えました。
 
 キャラクターもみんな愛せずにはいられないやつらが揃っていて、それがかえって……。いやまあ。ウフコックも若いですが、イースターもこの事件で大きく変わったのだなあとしみじみ。3巻に入ってからのイースターの発言の数々にはかなりぐっとくるものがありました。
 
 ちょっとネタバレ。(反転)読み終わったあとに改めて考えてみると、この物語は始まった時点から破滅に向かっていると感じました。とても哀しい話です。(ここまで)