hirayama46の日記

とりとめもなく書いています。

アレッサンドロ・ボッファ「おまえはケダモノだ、ヴィスコヴィッツ」

おまえはケダモノだ、ヴィスコヴィッツ

おまえはケダモノだ、ヴィスコヴィッツ

 これはもう猛烈に素晴らしいですよ。これほどまでに遊び心に溢れていて楽しく読めて、それでいて少しのもの悲しさも漂わせる素敵な本には出会ったことが無かったかもしれません。
 
 内容は、主人公であるヴィスコヴィッツくんが犬になったり、蜂になったり、はたまたかたつむりになったりしては、愛しの女性であるリューバさんと悲恋を繰り返す、というもの。なんだかんだでほとんどの場合において恋は成就せず、生物にはその生物なりの悩みがあるのだなあ、としみじみしてしまいます。それでいて、くすり、と笑ってしまうような滑稽さにも満ちています。
 連作短編集になっていて、別の生き物に変わる度に小説のジャンルまでもが変わってしまい、それぞれのジャンル小説におけるパロディにもなっていて、その辺も実に楽しいです。
 
 そんなこんなで、とてもお薦めの1冊です。この感想を読んでこの本に興味を持ってくれる方がいたら、すごく嬉しいです。