北野勇作「ハグルマ」

ハグルマ (角川ホラー文庫)

　うーむ、やはり北野勇作のホラーはある意味では、みんな同じなのだな……。面白いですけど。
　本作もいつもどおり、現実と虚構の淵を漂う小説となっております。存在とは、それほど確固としたものではないのかもしれないなあ、とか思ったりしました。
　
　コピー機の音の繰り返しが強く印象に残りました。考えてみれば、コピーってなんか変なものですね。具体的にどう変か、と言われると困ってしまいますが。影響されやすい人間なんです。
　
　あと、この表紙はちょっと直接的に怖すぎて北野勇作の作風には合わないかなあ。もっと茫漠とした不安みたいなものを感じさせる方が良いと思います。