似鳥鶏「理由あって冬に出る」
- 作者: 似鳥鶏
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2007/10/31
- メディア: 文庫
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青春小説らしいほろ苦さがありながらも爽やかなラストも良かったです。
表紙イラストの女の子について、deltazuluさんを始めとして、秋山真琴さんや新型さんが推理しておりますが、ぼくも考えたので少し書いてみます。致命的なネタバレはありませんが、興を殺いでしまう可能性はあるので隠しておきます。
まずは前提として、このイラストが作品のイメージに対するイラストではなく、具体的な登場人物を描かれていて、さらに、本文中の記述に忠実なものである、と仮定しておきます。
ぼくも上記の新型さんのものと同じ理由で秋野さん、高島さん、立花さんでは無いと思います。柳瀬さんであっても問題はないと思います。
しかし、あえて別のキャラクターではないかと予想します。
それは、探偵役である伊神さんです。
伊神さんは具体的に男性であるとも女性であるとも書かれてはいません。下の名前も明らかになっていません。性別を匂わせる発言は語り手の葉山くんの一人称により地の文による「彼」(p.43)、伊神さん本人の科白における「お、腰が痛い、僕はもうおっさんかな」(p.97)などがありますが、前者は女性にも(一応)使える人称ですし、後者はジョークとして言ったものとして、女性でも言う可能性は残されています。服装も「コートもマフラーも黒」(p.74)などと、どちらとも取れるものです。
もちろん、伊神さんが女の子であるという根拠も特にありませんし、表紙になるかと言われればさらに微妙ですが、そう仮定してみると、イラストにおける男の子(これは語り手である葉山くんとしておきます。)との近い距離、それに口元の笑みは、へんてこなことを考えてにやりとしている伊神さんらしい笑い方だと思いませんか?
……いつもと違うスタイルで書いたから少し疲れました。
間違いなどがありましたらご指摘いただけると嬉しいです。
(追記)
秋山さんと安眠練炭さんにトラックバックを頂きました。ありがとうございます。
安眠練炭さんの指摘はぼくも相当に無理があるな、と思いながら書いていたので、突っ込みが来て逆に安心しました。やはり(妙に饒舌とはいえ)高校生が女性を彼と呼ぶのはおかしいですよね。
しかし、その後はぼくが予想もしない方向に掘り進められていて心底おどろきました。は、袴とは……。