hirayama46の日記

とりとめもなく書いています。

12月の読書メーター

 12月に読んだ本の冊数は19冊でした。後半それなりに読めましたが前半はあまり読めませんでした。
2012年12月の読書メーター
読んだ本の数:19冊
読んだページ数:5407ページ
ナイス数:94ナイス

Baby Princess〈2〉 (電撃文庫)Baby Princess〈2〉 (電撃文庫)感想
陽太郎の入学・身体測定編と星花のラブレター事件の二本立て。やはり星花はかわいい……。学校の話の比重が大きくなるとどうしても同学年のヒカルの出番が増えますね。その辺は中等部も合流させたりすることによって出番に差が出過ぎないようにしているようで。バランス感覚。あと、絆創膏はちょっと、いやかなりエロい……。
読了日:12月31日 著者:公野 櫻子
ハムレットQ1 (光文社古典新訳文庫)ハムレットQ1 (光文社古典新訳文庫)感想
はじめてのシェイクスピア。Q1というのは、この戯曲にはいくつかの違ったバージョンがあって、そのうちのひとつで海賊版とみなされていたもっとも短いもの、だそうです。/ぼくは戯曲というのをほとんど読まないのでなかなか慣れません。翻訳はそこそこ読みやすかったけれど、リズムや音韻を意識しているのか古い言葉使いもちらほら、といった感じ。いつごろ訳されたものなのだろうか(訳者の方は2008年に亡くなっておられるので)。/内容としては、おお、さすが四大悲劇だ、という感じで楽しめました。王妃がなんだかひどく切ない。
読了日:12月31日 著者:ウィリアム シェイクスピア
鬼談百景 (幽BOOKS)鬼談百景 (幽BOOKS)感想
百物語ものとしてはスタンダードなつくりだったでしょうか。学校であった怖い話がやや多めなのもそんな感じ。小野不由美ならではのなにかが強く出ていたわけではありませんが、相変わらず文章の練度は高いですし、百物語好きなら十分楽しめると思います。
読了日:12月30日 著者:小野不由美
とにかく散歩いたしましょうとにかく散歩いたしましょう感想
新聞連載ということもあってか、いままでのエッセイに比べてちょっとよそ行きかな、という雰囲気もありつつ、阪神愛と愛犬愛(というのも変な言葉ですね)は健在で、ああ、やはり小川洋子だな、と思いました。
読了日:12月29日 著者:小川 洋子
江神二郎の洞察 (創元クライム・クラブ)江神二郎の洞察 (創元クライム・クラブ)感想
江神シリーズ初の短編集ということで期待して読みましたが、時間を掛けてじっくりと書かれただけあってか1編1編が丹精込めているなあ、と思いました。講義ノート盗難事件を扱った「瑠璃荘事件」、ホラーなのかとぼけているのかよくわからない味わいのラストが良い「開かずの間の怪」、アリスと江神が歩きながらミステリ談義をする「除夜を歩く」が良かったです。
読了日:12月27日 著者:有栖川 有栖
ザボンの花 (大人の本棚)ザボンの花 (大人の本棚)感想
両親と子供3人の5人家族の生活をゆったりとした筆致で描いております。特に大事件が起こるわけでもなく淡々と起伏のない展開が続きますが、なかなかに心地よい文章もあいまっていい塩梅です。等身大の小説、といった感じでしょうか。
読了日:12月25日 著者:庄野 潤三
傍聞き (双葉文庫)傍聞き (双葉文庫)感想
はじめての長岡弘樹。これは上手いなあ。上手いとしか言いようがない感じです。その上手さも含めて横山秀夫の短編にちょっと似ている感じですね。/お気に入りはどれも良いのですが、タイトルが小憎い表題作、消防士のある行動が意外な事実に直結する「899」が特に良かったです。
読了日:12月23日 著者:長岡 弘樹
やし酒飲み (岩波文庫)やし酒飲み (岩波文庫)感想
一言で表すならば「へんてこ」な小説であったなあ。どこか脱臼したような文体とマジック・リアリズム(という言葉の使い所がいまいちよくわからないけれど、本書で使ってよろしいだろうか)的なアフリカの土着的パワーみたいなものと万物への信仰心が交じり合った世界であり、これはここでしか読めないものだろうなあ、と思いました。いや、へんてこだなあ。
読了日:12月21日 著者:エイモス・チュツオーラ
ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 (新潮文庫)ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 (新潮文庫)感想
再読ー。特に内省的な巻で、かなり長い間井戸から出て来なかったりします。孤独感。しかしやっぱりぼくはどうしても笠原メイの行動に納得することができません。オカダ・トオルさんはもっと腹を立ててもいい気がします。ある種の相互理解はあったとしても。/しかし、加納マルタの消え方はどこか不安定ですね。彼女はこれからどうなっていくのかは……あまり気になりませんが。
読了日:12月19日 著者:村上 春樹
夜の国のクーパー夜の国のクーパー感想
安心の、本当に安心の伏線回収は相変わらず快感で面白かったです。ただ、今回はそれに至るまでの道筋がちょっと長くて起伏に乏しい感はありました。道中の「読んでいて楽しい」感がいつもよりは不足していたように感じました。ただ、伏線も置かなくてはいけないしバランスは難しいのですけどね。/あとがきでは触れてないけれど(あまり読んでいないぼくが言うのもなんですが)島田荘司の影響はやはり感じられる気がしました。
読了日:12月18日 著者:伊坂 幸太郎
あやめ 鰈 ひかがみ (講談社文庫)あやめ 鰈 ひかがみ (講談社文庫)感想
半ば死んでしまったような男や完全に死んでしまった男たちが夢か現かわからないようなこの世界を彷徨する話。濃密だけどすらすら読める文章が良いです。3作の中では腐っているのか新鮮なままなのかわからない鰈を持ち運んだまま地下鉄をさまよう「鰈」が好きかな。/幸福感という感情の持つ切なさについて思いを馳せたりもしました。
読了日:12月16日 著者:松浦 寿輝
眩談 (幽BOOKS)眩談 (幽BOOKS)感想
目眩の眩に談で「眩談」。タイトルとおりに明確な恐怖を喚起するというよりも、どこか不可思議な世界に連れてこられたかのような作品が並んでおります。/世界がどんどん歪んでしまう怪異譚である「歪み観音」はラスト付近の展開が良いです。昔はどこの街にもいた(らしい)困った人を描いた「もくちゃん」、独特の倦怠感が楽しい(というと変ですが)「シリミズさん」あたりが好みでした。/あと、文章全体が少しづつスライドしていく仕組みは面白いと思いましたが、ひらがなとカタカナに読みにくいフォントを使うのは勘弁してほしいです……。
読了日:12月15日 著者:京極夏彦
ぼくらは都市を愛していたぼくらは都市を愛していた感想
「情報震」と「人工神経網」のふたつのアイディアを中核に現実が揺らいでいくさまはさすが神林長平といった感じ。ぐねぐねっぷりが素敵です。しかし、正直ぼくの読解力が後半追いつかなくなったのもたしかで、若干悲しい気持ちに。完全に理解できなくても面白いのが神林長平なのですが。
読了日:12月14日 著者:神林 長平
ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)感想
幾度目かの再読。やはりノモンハンでの出来事が記憶に残っていましたが、起こっている事象が限りなくグロテスクですが、筆致自体はわりと淡々としていたのだなあ。/あと、奥さんの出番ってこんなに多かったっけ……と思いました。重要な部分なのに! 第2部もなるべく早く再読しよう。
読了日:12月10日 著者:村上 春樹
顔のない肖像画 (新潮文庫)顔のない肖像画 (新潮文庫)感想
いかにも連城三紀彦の短編! といったぐねぐねした感覚が素晴らしい短篇集。一人称が重なることによって虚実のあわいをさまよう「瀆された目」、ぎゃふん! と叫びたくなる「孤独の関係」、人工的なくせに深い余韻を残す表題作が良かったです。
読了日:12月9日 著者:連城 三紀彦
散歩のあいまにこんなことを考えていた散歩のあいまにこんなことを考えていた感想
はじめての松浦寿輝。いかにも「頑固親父」が書いたようなエッセイ集。節々に表出する頑迷さや「平成的なもの」への棘のある物言い、例えば「エンターテイメントは二十年前に比べて質はがた落ち」とか。単純に古いものが好きになっただけなんじゃないだろうか。とても「「近代」を果ての果てまでとことん生きるしかないと腹を括っている」人間の言うこととは思えません。その辺はいかがなものか、とは思いました。/ただ、小説家であり詩人であり評論家でもある人の気の抜けた文章であり、全体としてはそれなりに楽しめたのですが。
読了日:12月5日 著者:松浦 寿輝
真夜中に海がやってきた真夜中に海がやってきた感想
やはりスティーヴ・エリクソンは難しい。なにかしらすごいことをやっているのはわかるのですが、それが何かは皆目検討もつかない次第です。長編同士のリンクもあるのだろうか(「黒い時計の旅」しか読んでないうえに内容を憶えていない)。たいへんに流麗ながらに濃い小説でありました。かなりの満腹感があります。ちなみに、ページ数は250ページほどですが2段組なのでけっこう分量はあります。しかもヘヴィーです。その分これが読み解ければ新しい光景が広がるのだろうなあ……と夢想。
読了日:12月4日 著者:スティーヴ エリクソン
隣り合わせの灰と青春―小説ウィザードリィ隣り合わせの灰と青春―小説ウィザードリィ感想
タイトル的にどんなものかな、と思ったら想像よりもずっと忠実にウィザードリィしていて驚きました。この内容にこのタイトルを付けるのだからなかなかすごいセンスだと思いました。青春、か……。/そんなわけで、ファミコン版のウィズを楽しんでいた身としては懐かしさもあり楽しく読めましたが、ゲーム版を知らない若い人が読んだらどう思うのか、少し気になります。/著者近影を見て若いなー、と思った連載当時21歳かあ。本当に若いな……。しかしあまり若書き感はありませんね。早熟だったのでしょう。
読了日:12月3日 著者:ベニー松山
狐と踊れ (ハヤカワ文庫 JA 142)狐と踊れ (ハヤカワ文庫 JA 142)感想
神林長平の処女短篇集。そうか、新版では収録作が変わっているのか……。ぼくが読んだのは旧版で表紙も別のやつ(ちょっと不気味)です。/デビュー短篇集だけあってのちの神林長平とはずいぶんと違うなあ、という部分と、ああ、いかにも神林長平だなあ、という部分が並存していて興味深かったです。/薬を飲まないと胃がどこかに行ってしまう、という奇想をもとに展開していく表題作は階級社会を要素として使っているあたりが神林長平っぽいところかな。あとは「忙殺」の後半の展開がぐねぐねしていて素敵でした。
読了日:12月1日 著者:神林 長平

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